そこでAnyflowは対象ユーザーをエンジニアではなく、ビジネス部門に設定。彼らがプログラミングの知識を必要とせず、SaaSの連携を手軽に行えるよう、親しみやすいUIでSaaSの連携が簡単に作れるサービスを開発することにした。それがAnyflowというわけだ。
こうした領域に関しては昨今、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が盛り上がっているが、坂本は「UIが分かりづらく、全員が使いこなせるものではない。また公式のAPIを活用しているわけではないので、アプリケーションに変更があった場合、ワークフローが止まってしまう」と課題を口にする。
その点において、Anyflowは公式に用意されているAPIを活用しているため、アプリケーションの変更があってもワークフローが止まることはないという。また坂本によれば、「英語でしか対応していない海外サービスと異なり、国産のiPaaSなので、日本語UI、日本語サポート、そして国内のサービスに広く対応しているのも大きな特徴」だという。
数々の失敗を経て、iPaaSの領域へ
Anyflowの創業は2016年。創業のきっかけは、2015年にアクセラレータープログラムのKDDI∞Laboに採択されたことにある。「会社がないとプログラムを進められないということで、大学卒業間近に会社を設立することしました」と坂本は振り返る。しかし、最初からすべてが上手くいったわけではない。
ルームシェアのルームメイトを検索するサービスを開発したり、ランチの場所を探せるアプリを開発したり……。20個ほどのサービス・アプリを開発してみるものの、さまざまな課題にぶつかり、失敗し続ける日々。これから、どうしていくべきか。いろいろ考えた末に辿り着いたのが、原体験・成長市場・マネタイズの可能性という3つの軸にフォーカスしてサービスを考えることだった。
「RPAの市場は2022年には400億円規模にまで成長すると言われています。働き方改革や労働人口の減少で、自動化できる部分はAIやロボットに任せ、人間は本当に人間にしかできない仕事に時間を注いでいかないといけない。今後、企業のニーズが増えていくことは間違いないと思いました」
当初、RPA領域でサービスを展開しようとしていたが、企業へのヒアリングの結果、そして坂本自身が感じた従来のRPAの課題感から、iPaaSの領域にシフト。現在のAnyflowのモデルに行き着いた。
そして今年の7月にベータ版をローンチしたAnyflow。今後、10月を目処に正式版のローンチを目指すほか、人材の採用、機能の拡充なども図っていく予定だという。
「SaaSを簡単に連携できるようにすることで、業務が最適化され、そして自動化されます。それによって創出された時間で人がより創造的な仕事に従事できる世界の実現を目指していきたいと思います」