ビジネス

2019.10.14

オープンイノベーションを促進。民間と協働する「飛び出す公務員」たち

宮崎県新富町で開催された地域リーダーズキャンプの様子。photo by Waki Hamatsu


観光協会を解散し、稼げる地域商社を設立。宮崎県新富町こゆ財団


岡本啓二氏

宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」にもオープンイノベーションを推進する公務員がいます。

岡本啓二氏は新富町生まれ、新富町育ちで、新富町役場で公務員としてずっと仕事をしている人物です。リスクを負わずに仕事を続けることもできたと思いますが、岡本氏は町の財政状況が悪化していることに危機感を感じ、観光協会を解散し、稼げる地域商社の設立を町長に提案しました。

田端氏と同じく、何もしないことのほうがリスクであると感じた岡本氏は、3年以上の準備期間を経て2017年4月に地域商社「こゆ財団」を設立。自ら出向し、『世界一チャレンジしやすいまち』をビジョンに掲げ、執行理事として仕事をしています。

岡本氏の指揮のもと、こゆ財団は、1粒1000円ライチのブランドを開発したり、町から委託されているふるさと納税で寄附額を2年間で約4億円から約19億円に増やすなどの持続可能な地域を作るための経済的な結果をおさめました。

またこれらの成果が認められ2018年11月には、国の地方創生優良事例に選出される結果になったのです。

何もしないことの方がリスク。イノベーションは、たった一人の熱狂から全ては始まる

では、なぜそんなに彼らは行動できるのでしょうか。

それは、彼らには、それぞれが体験を通じてえた危機感があり、それが原動力になっているからです。そし、それぞれに描く創りたい「住み続けられるまちづくり」、すなわちビジョンがあるからだと感じます。

この行動力とビジョンが多くの人の共感を生み、多様な企業や個人の共感の輪を広がり、新たなチャレンジを志す人が集まっています。

安定志向のイメージの強い公務員の世界でも、外部の人材と連携し、3人のように危機感を持って行動を始め、地域に新しい価値を創造している人物が現れています。

連載:地域経済とソーシャルイノベーション
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文・写真=齋藤潤一

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