35年前から進化しない日本の教育は、世界の変化に追いつけるのか

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それぞれの教科には「学ぶ順序」や「正しい考え方」、「正しい答え」がある。生徒は前を向いて並んで座ることを強いられ、自由に発言することを許されないことも多い。図工や美術の授業でさえ、お手本があり、取り掛かる手順を教えられ、その順序通りに進めなければならないこともある。

テストの正解は一つ。その点数で順位が出る。受験や進学の判断材料としてペーパーテストの結果や偏差値が相変わらず重視され、民間の教育機関、進学塾などでもその傾向はさらに過熱する。放課後は小学生でも自由に遊ぶ暇もなく塾に走り、偏差値と試験の結果に一喜一憂しながら、問題を早く正確に解けるように訓練を受ける。親や教師からはできないことを数え上げられ、嫌いな教科や苦手なことを重点的に指導される。「僕はできない」「私はこれが苦手」という意識が積み重なり、学年が上がるほどに自己肯定感は下がり、無気力になっていく。

学力によって切り分けられ、均一化した集団の中で枠から飛び出ることは許されない。空気を読みながら枠から出ないよう息を殺すことを覚える。時間を厳守し、指示通りに、文句を言わず、我慢して、ひたすら効率よく仕上げる人間を量産する。何かイレギュラーな場面に立たされると必ず大人に確認をとる。そんな「大人にとって都合のいい子」はつまり、「古い企業社会に都合よくプログラミングされた人間」ではないか。そのように育ってしまった人間ができる仕事は、遅かれ早かれ、すべてAIに取って代わられるだろう。

今、日本に突きつけられている「リスク」とは、まさにそういうことなのである。

教育もまた、今まさに舵を切るべき時が来ている。新時代を生き抜くために必要な力(具体的にどんな力かはこのコラムで順を追って解説していこう)を育てる「教育革命」の萌芽は、時代の動きを敏感に感じる教育関係者たちによって日本のあちこちで生まれ、すでに動き始めている。その動きをより多くの人に伝えることが、「教育革命」を空論に終わらせず、「教育革命」を大きく前進させると私は確信している。

次回からは、教育革命の現場に足を運び、識者へのインタビューなども交えながら、さまざまなジャンルの垣根を超えて多角的なアプローチでレポートしていきたい。

連載:教育革命の最前線から
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文=太田美由紀

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