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2019.09.22

「現状に安住しない。現状に絶望しない」という想いで若者はチャレンジを|慶應義塾大学 國領二郎

慶應義塾常任理事 國領二郎教授

SFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)で総合政策学部長、研究所長などを歴任し、現在は慶應義塾常任理事を務める國領二郎教授。

長らく慶應義塾大学で起業家の育成に携わってきた國領教授に、教育の現場から見た起業家としての心構えや、日本のベンチャーが世界で戦い抜いていくための秘訣についてドリームインキュベータの小縣拓馬が聞いた。(全6話)※本記事は2017年8月に実施したインタビュー内容を基に作成しております。

現状は必ず変わる、だからこそ夢を形にしてほしい

──先生ご自身の信念や成し遂げたいことを伺ってもよろしいでしょうか?

やっぱり若い人達に思いをやり遂げて欲しいと日々思っています。これは、学校の先生だからそう思うのかもしれませんが、自分の悔いのないようにというと変ですが、潜在能力をめいっぱい発揮して欲しいなというのが一番大きいですね。

大企業の中でそれができる人はそれでも構わないんです。

ただ、自分の夢を自分の手で形にするっていうのはとても大事なことですから、「起業する」という選択を考えた時に、実現できるだけの能力を持っていてくれたらな、と思いながら今までやってきております。

それと、先ほど言った通り、現状というのは必ず変わるものです。

なので、「現状に安住しない。現状に絶望しない。」

これが私が若者達に伝えたいメッセージです。

──先生のメッセージと関連するんですけれど、若い人達、特に「ゆとり世代」「さとり世代」と呼ばれるような世代は、一度も右肩上がりの日本を経験したことがなく、ある種諦めてしまっているような風潮も感じます。

でも、この国、有効求人倍率を見てみると1.48倍ですよ?これは世界の中で見ると本当に凄いことなんですよ。

──そうなんですよね。なのに、得体も知れない閉塞感を抱いている若者が多いのかなと感じています。そういう若者にとって「現状は必ず変わる」というのは強いメッセージだと思うのですが、先生は、日本はもう一度再浮上できると思われますか?

ちょっと文明論的にお話ししますね。

本当は日本は1980年代くらいに成熟に達していて、量的な成長から質的な成長を目指す時期が存在していたはずなんです。ですが、新興国という大需要が来てしまったので、その動きが止まってしまったんですね。

とはいえ、いつかは必ず新興国も量的に飽和する時がくるので、その時になって質的成長というテーマに戻ってくるんだろうなと思っています。そして、その質的成長を目指すマーケットとして、日本は他の国の先を行っていると思います。だからあまり絶望しなくていいんじゃないかと考えています。
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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