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2019.09.22

「現状に安住しない。現状に絶望しない」という想いで若者はチャレンジを|慶應義塾大学 國領二郎

慶應義塾常任理事 國領二郎教授


先ほどの有効求人倍率の話に戻りますが、日本は人手不足で本当に困っていますよね。視点を変えると、失業のことをあまり心配せずにAIを導入できる国って、普通に考えて日本くらいしかないと思いますよ。例えばバスやタクシーを無人化するという未来は見えてきていますが、それを他の国でやったら、タクシーの運転手をやっている方たちが暴動を起こしてしまうかもしれません。

別にSFの世界のような、AIが人間に取って代わるという話をしたいわけではありません。AIが人間の生産性を倍にして、一人あたりの所得を倍にしてくれればいい訳です。

もちろん日本でも他国と同様の確執は発生するでしょうが、世界に比べると日本は人手不足だからこそチャンスだ、というくらいのタフな精神を持つことが重要だと思います。



若者達よ、楽天的であれ

──それに加えて、強い競合の「アキレス健」を見つけて突くと。

これは若い人ならではの特徴なんですけれど、今二十歳すぎの子って生まれた時からiPhoneがあったくらいの感覚なんですよね。僕らからしてみれば、ついこの間iPhoneが生まれたぐらいのイメージですが。

このように若い人の弱点というのは、経験が浅いがゆえに今あるものが未来にもずっとあると思いがちなところなんです。でも年を重ねた人間ほど、「今あるものは次になくなるかもしれない」と考えてるんですよね。

ですから、若い人達に向けて言えることがあるとすれば、「今あるものが明日もあるとは思わないほうがいい」ということです。いま強い相手が未来永劫強いままとは限らないんですよ。 今はGoogleに勝てっこないと思ってるかもしれないけど、絶対勝てるんです。

……というようにやはり冒頭に話したとおり、楽天主義が起業家には大事なんじゃないでしょうか(笑)。

何度も繰り返しになりますが、「現状に安住しない。現状に絶望しない。」

こんな想いで、チャレンジする若者が増えることを願っています。

文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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