今月、マツダは第14回欧州「オートビジョン賞」で銀賞を受賞した。オートビジョン賞は、自動車のムービーやマルチメディアのフェスティバル。その銀賞を受賞したのが、マツダ製作の「ノードキャップまでの旅」という北極を巡るメディア試乗会のショート・ムービーだった。
審査員は作品について、「2分40秒のショート・ムービーですが、マツダは氷点下30度の過酷な雪国で『人馬一体』という同社のフィロソフィーをとても美しく表現し、マツダ車が厳しい環境にどこまで対応できるかということを強調するのに成功しました」という。
映画ではマツダの代表的なCX-5の4輪駆動仕様でスウェーデンから始まり、北極に近いノルウェイ北部「ノードキャップ」まで巡る厳しいストーリーを描いている。
「やはり、ジャーナリストの表現豊かな文章に頼るのと同時に、マツダのクルマの走りを的確に表現できるように、我々はあっと言わせる動画も欲しかったのです。だから、キングダム・クリエーティブ社に依頼したのです」とマツダUKのジェレミー・トムソン社長は言う。
今回はマツダが受賞しているが、以前にはホンダが、2003年に業界で最も賞を多く受賞したテレビCM 「ザ・コグ」で「英国テレビCM最優秀賞」を受賞している。このCMでは、地面にばらまいたホンダ・アコード・ワゴンの部品が最後まで完璧に全部転がったり、動いたりしながら、アコードの完成度の良さを歌っている。
また、ホンダの2輪、4輪、レースマシンなどの伝説的な乗り物をフィーチャーする2005年の「Impossible Dream」というCMも同賞を受賞した。2010年にアップデートされたバージョンでは、ロボットのアシモ、燃料電池車クラリティ、そしてホンダジェットが加えられ、さらに充実したCMとなっている。
日本のカーメーカーが欧州、特に英国でこれだけ格好いいCMを製作して、業界に讃えられ、有名なアワードを受賞しているのに対し、日本のCMはどうも平凡に見える。
僕個人の話になるが、これまでに拍手を送ったのは、2012年にブルース・ウィリスが出演した「ダイハツ・ミラ・イース」のCM。これは最高だった! ウィリスの「ミラ・イースは売れてるの? 俺のおかげ?」に対して「腹たつな、ブルース」という綿引勝彦のセリフは忘れられない。同CMのコンセプト、台本、特に俳優たちの演技力はとても良かったから、こんなCMこそ賞を受賞すべきだと思った。
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