IPO目前の企業が追加で資金調達を行うのは異例のことだ。Postmatesはフードデリバリー分野で4番目の規模とされ、9月中に上場目論見書を公開する予定であると、先日報じられていた。同社には、他企業による買収説も流れたが、事実ではないという。
IPOを控えた企業が追加で資金調達を行うのは、資金繰りに苦戦していることのサインである場合もある。「もしくは、上場時の評価額を高めたい意向があるのかもしれない」と、フロリダ大学教授のJay Ritterは述べた。
Postmatesは上場の時期に関するコメントを避けた。同社の2018年の売上は4億ドルに達したが、黒字化は果たせていないという。
「当社が成長を遂げる中で、GPIをパートナーに迎えられたことを光栄に思う」とPostmatesのCEOのBastian Lehmannは声明で述べた。ニューヨーク本拠のGPIは、レイトステージのスタートアップに投資する場合が多く、最大で20%程度の株を取得するというが、今回取得した持ち分比率は開示していない。
GPIは今回の出資と並行して、Postmatesの取締役会にブラジルの投資銀行BTG Pactual出身のKhai Haを送り込む。既存出資元のFounders Fundや Tiger Global、Spark Capitalらも既に役員を送り込んでいる。
Postmatesは今年2月、密かに上場申請書類を提出したが、その後の歩みは遅かった。米国のテック業界では今年、ウーバーやリフト、ピンタレストが上場したが、株価は冴えない状況が続いている。ニュースサイトRecodeは、Postmatesが他社に事業を譲渡する交渉を進めていると報じたが、CEOのLehmannはこの情報を否定していた。
Postmatesは、ラッパーのポスト・マローンやカイリー・ジェンナーなどのセレブからの支持を得て人気を拡大し、今年7月時点で米国のフードデリバリー市場で11.5%のシェアを獲得していた。
しかし、この分野には評価額126億ドルのドアダッシュ(DoorDash)や、既に上場を果たしたGrubhub、ウーバーイーツなどの強敵がひしめいている。それらの競合と同様に、Postmatesは巨額のマーケティング費用を注ぎながら、IPOに踏み切る構えだ。