運転支援機能の普及、米国で事故死減少に寄与か

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運転支援機能は乗用車の主力モデルでの導入も進んでいるが、この機能が交通安全に貢献していることを示す兆しは既に表れているのだろうか? 米国での交通死亡事故に関する最新統計からは、その可能性が明確に示唆されている。

あまり知られていなかったことだが、実は米国での交通事故による死亡者数は過去2年の間に減っている。2017年の死者数は3万7133人と、前年の3万7806人から1.8%減少。2018年にはさらに1%減の3万6750人になった。

米国ではこれに先立ち、自動車事故の死者数が数十年にわたりおおむね順調に減った後、近年になって顕著に増えていた。死亡事故の増加は、主に不注意運転の増加が原因だったとされる。

だがここ数年は、米経済が成長し、富の拡大によって自動車の走行距離が増える中でも、死亡事故が減少している。運転中のテキストメッセージの使用をいさめるキャンペーンが功を奏したのは確かだが、最大の要因となったのはおそらく、運転支援技術を搭載する新車が増えたことだと考えるのが論理的だろう。

特に、主要な価格帯にあるモデルでもこうした技術が一般的になり、標準設備となることが増えていることは大きい。アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)や車線逸脱警報、さらには運転手の居眠り警報といった機能が、金持ちが乗る高級モデルだけでなく大半の米国人が乗る車でも広く搭載されるようになったことは、高速道路の交通安全で近年起きた中でも特に喜ばしい変化だ。

ミシガン州にある自動車研究センター(CAR)のカーラ・ベイロ所長は筆者の取材に対し、「車は全般的に安全性が増しており、何かばかなことをしていたとしてもこうした車が守ってくれる」と説明。また、交通事故の死亡者数が過去2年ほどの間に減っている理由として「(運転支援)システムが高級車から各自動車メーカーのさまざまなモデルへと普及していること」があるとの見解を示した。

ベイロは「これは私が直感的に感じていること。もっとデータが必要だ」とした上で、居眠り運転警報や車線維持システムのような支援機能は、死亡事故の大部分が発生する田舎道や2車線道路で特に役立つと指摘した。
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編集=遠藤宗生

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