完璧主義者が注意すべき3つの思考の落とし穴

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企業戦略担当者だった頃の私の主な役割は、新たなアイデアを考えて上級幹部にプレゼンし、幹部がそれをさらに上層部にプレゼンするのを補佐することだった。つまり、作業の大半はパワーポイント資料の作成に関するもので、スライドの内容を他の人と確認し、修正し、最終的には見た目は洗練されているものの、自分の当初の目的とはかけ離れたフランケンシュタイン的な資料を作り出す、ということだ。

私は視覚型の人間ではないので、資料作成は不安を伴う仕事だった。「よい資料に見えるだろうか?」「承認してもらえるだろうか?」と考えた結果、どんなアイデアや提案に最も価値があるかではなく、どの視覚的フレームワークを使えば上司を感心させられるかばかりを考えるようになっていた。

また、全力を尽くしてプレゼン資料を作っても、使われすらしないことも何度もあった。この経験により、確かに私の視覚的プレゼンスキルは上がったが、完璧なプレゼンをしようとするがあまり、最終目的を忘れることのリスクについても学んだ。

一部の職場環境では、部下のミスはどんなに小さなものでも罰し、永久に続く見直しサイクルを強い、正しい答えより「完璧な」答えを優先させる階級構造や管理手法の結果、完璧主義的な傾向が生まれる。私は独立したことで、資料作成の不安から逃れ、事業をする上でもっと重要なことに集中できるようになった。

だが一方で、自分の内面から完璧主義を生み出している人もいる。私は完璧主義者と結婚したので、これが分かる。物理学の教授である夫は最近、地元の高校で研究について1時間の授業を行うという社会奉仕の準備に、2週間をかけた。何について話すか決めようと、夜間に何時間もあれこれ考え、プレゼン全体を少なくとも3回は作り直し、さらに最終原稿を何時間もかけて見直した。だが結局、授業に来た生徒は2人だけで、プレゼン内容よりも、早く帰りたいという気持ちに気を取られていた。

競争が激しく、要求度合いが高く、他の完璧主義者に囲まれた環境で働く完璧主義者にとって、こうした日々の苦悩はとても現実的なもので、強い不安やストレスにつながる場合もある。完璧主義は「インポスター(詐欺師)症候群」とも大きな関わりがある。これは、自分が本当はペテン師で、本来だったらそこにいるべきではないことが周囲にばれてしまうかもしれない、という恐怖感のことだ。
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編集=遠藤宗生

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