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野村訓市

ラジオではDJ兼ナビゲーターを務め、2018年に公開された映画「犬ケ島」では日本人唯一のボードメンバーとなり、ほぼひとりで編集と執筆を手がけた『sputnik : whole life catalogue』は伝説のインタビュー誌として知られる。

野村訓市には、なぜ世界中から仕事が集まるのか──。

Forbes JAPANでは、9月25日発売の本誌で、 「WHO IS THE TRUE INFLUENCER?」(真のインフルエンサーとは何だ?)と銘打ち、 トップインフルエンサー50人を選出。

彼ら、彼女らの言葉やアドバイザリーボードたちの論考から、 インフルエンサーなる現象を多角的に描く。



多くの人が野村を信頼し、その言葉に耳を傾ける理由とは。


「野村さんみたいな人になりたいです」「アシスタントにしてください」

就活シーズンになると、野村訓市の元には若者たちからこんなメッセージが届く。

夏はTシャツに短パン、ビーチサンダル姿が定番。肩書きは「とくに決めていない」。

原稿を書き、店舗の設計図を引き、ラジオでDJ兼ナビゲーターを務めるなど複数の仕事をして、夜は気鋭のクリエーターらと酒を酌み交わす。

かと思えば、セーターにVANSの靴を履いてアカデミー賞のアフターパーティに参加していたりする。

その、一見自由な働き方やライフスタイルが若者たちを惹きつける。

そんな野村に「インフルエンサー特集で話が聞きたい」と伝えると、彼は開口一番こう言った。

「インフルエンサーって取材依頼書に書いてあったから、僕に何を聞くんだろうと思って、逆に断らなかったんです」

そして、こう続けた。

「僕はいわゆるインフルエンサーではありません。なぜなら、僕もインスタをやっていますが、インスタ上でモノを売ったことも、もらった服を着た写真を載せてお金をもらったこともない。あと、基本的に裏方仕事です。そういう感じなので、(インフルエンサーと言われると)なんだかなあと」

確かに、野村はSNSを積極的に使いこなしているわけではない。

にもかかわらず彼にインタビューを申し込んだのは、野村のありようにこそ真のインフルエンサーの要諦があると考えたからだ。

世の中が「発信」で溢れかえる今、消費者は情報の裏側を見通す力を付け始めている。商業的な「いいね!」は早晩、見透かされる。そして、本当に信頼できる発信者を求めている。

だから今こそ、真のインフルエンサーとは何かを定義したい。そう話すと、野村は「消費者も企業も表面的な情報に乗っかってしまうのは、残念としか言いようがないです」と語り始めた。

「世の中そんなに馬鹿じゃない。本当は好きそうじゃないなと思ったら、消費者も投稿を見てスルーするはず。短期的には利益が生まれるかもしれないけど、まともなお客さんは残りませんよ」

野村のインスタグラムには、約8万6000人のフォロワーがいる。そこには広告の香りがするものは一切ない。ただひたすら、友人と共に時を過ごしたスナップが載っている。

しかし、そのメンバーがすごい。

映画監督のソフィア・コッポラにアメリカンフットボール選手のエイドリアン・ピーターソン、ミュージシャンのマリリン・マンソン、現代アーティストのトム・サックス。

文=瀬戸 久美子 写真=アーウィン・ウォン

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