挑戦する人と挑戦する企業をつなぐ、Forbes JAPAN 初の採用ブランディング

オフィスに縛られない新しい働き方が世に広まり、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスは高機能化。便利になったがゆえに大量のデータを処理・通信することとなり、消費電力は増大の一途を辿る。そう充電は、スマートデバイスの利用において重要な要素になった。

その利便性を支える、モバイルバッテリーなどのUSB充電機器。近年一般に普及したように思えるその領域でひときわ存在感を放っているのが、世界のEC市場でベストセラーを多数抱え、リーディングブランドと評されるAnkerだ。

日本法人であるアンカー・ジャパンは2019年6月に新事業方針を発表。そのベクトルは、コーポレート・ミッションである「Empowering Smarter Lives」の実現を推し進めるべく、より幅広い範囲で「Empower」=「力づける」ことを追求する方向に向いているという。

その目指す先は? アンカー・ジャパン代表取締役の井戸義経に聞いた。

期は熟した。成長のなかで決めた、次なるフェーズへの挑戦

2013年1月に設立されたAnkerグループの日本法人、アンカー・ジャパン。その売上の推移が気持ちいいほどに目覚ましいので、少し読みにくいが年を追って並べていくことにする。

2013年は約9億円、2014年は約20億円、2015年は約30億円、2016年は約68億円、2017に約74億円、そして2018年には約110億円。この成長について、アンカー・ジャパン代表取締役の井戸義経は語る。

「日本市場における初期フェーズとして、“充電といえばAnker”というブランドを立てることに注力し事業基盤を作りました。中途半端に充電機器以外の製品は売らず、モバイルバッテリーやUSB急速充電器、ケーブルといった絞り込んだカテゴリーでそれぞれ1位になることに資源を投入したのです。その結果、まずお客様から識別してもらえるブランドのアイデンティティを作れたと思います」

充電機器で築いたユーザーからの信頼をテコに、2015年にオーディオカテゴリーに進出。今ではグループ内のブランド名に昇格した「Soundcore」の名を冠する、ベストセラーのBluetoothスピーカーをリリース。

さらに2017年9月に、現在のグループ内5ブランド体制に連なる新事業計画を発表。スマート家電領域へ参入するとともに、充電のみならずユーザーの生活を幅広く支えるという決意を込め、コーポレート・ミッションとして「Empowering Smarter Lives」を掲げた。



「主力領域である充電カテゴリは拡大を続けており、近い将来、市場が飽和するとは考えていません。しかし、トップの充電機器メーカーであることに誇りを持ちながらも、進化し続ける必要があります。新事業計画発表の際に“Empower”という言葉を使ったのも、変化するユーザーのニーズを先取りし、生活をハードウェアの力で後押しする存在になっていかなければ生き残れないと考えているからです」

井戸が“充電といえばAnkerというイメージを確立した”、と語る初期フェーズの裏側で、売上を伸ばしながら確信したことがある。

「我々のバリュープロポジション(=提供する価値)は、2つの要素によって構成されているのです。1つ目は、ECを中心にした非常に効率的でシンプルなディストリビューションモデルを用いていること。2つ目は、ユーザーや市場と直接つながり、いただいたフィードバックを元に最速でプロダクトを改善していること。この2つの要素を高いレベルで有していることが我々のコアコンピタンスだと」

この強みはメーカーとしてユーザーに提供できる価値の根幹をなすもの。充電カテゴリにとどまらず、他のカテゴリにおいても同様に価値を提供していくことができるはずだ。オーディオでも、ロボット掃除機を含むスマート家電でも、Ankerのコアコンピタンスは普遍的に通用する、その確信を得たのだ。

「奇抜な製品を出すわけではない。“愚直な”メーカーなんです」

「Ankerはいろいろなカテゴリの製品をランダムに作っていると思われるかもしれませんが、根底にあるのはひとりの人間が朝起きてから眠るまでの一日の中でのデジタル製品に触れる機会です。朝起きて仕事に向かう。移動時間にモバイルバッテリーを使う。帰る前に外から指示してロボット掃除機を走らせておく。帰宅後はリビングにてBluetoothスピーカーで音楽を楽しむ。寝る前にUSB急速充電器でスマートフォンやタブレットを充電する......そんな生活の場面場面をAnkerの5つのブランドで後押しするような“生態系”を作りたいのです」

充電機器に加えて、今後Ankerグループが注力していくカテゴリにロボット掃除機がある。日本市場の状況を見渡してみると、ロボット掃除機の購入障壁のひとつに価格があると井戸はいう。

「ロボット掃除機が日本市場に登場してから10年以上が経過し、購入するユーザー層は多様化しました。使ってみたいけど、本当に便利かどうか分からない。そんな時にフルスペックの高価格なモデルでなく、シンプルで手頃な価格のものから始めてみたい、というニーズがあります」

このようなニーズをAnkerグループは見逃さない。

「市場には今やさまざまな種類のロボット掃除機があり、お客様にとっては、どれを購入するのが機能的にも価格的にも自分に合っているのか、判断するのも大変という状況が生まれています。どれを買ったらわからない人が、Ankerグループの製品を買えばちょうどいいものが手に入る、そのポジションに我々がいることが大事かなと思っているんです」

よどみなくAnkerブランドについて語る井戸が、「ですから」と言葉を継ぐと口をつぐんだ。そして、ほんの一瞬の逡巡のあとで放った言葉にAnkerグループの本質が込められていた。

「一言でいうと、”愚直な”メーカーなんです」



奇をてらい、一時的に話題を獲得する製品を生み出すことがAnkerの本質ではない。井戸は続ける。

「お客様の言うことを愚直に聞き、正しく解釈し、迅速・的確に製品を改善する。それがAnkerブランドの価値と信頼を高めてきた我々の強みです。もちろん時代を切り拓くような素晴らしいドリームデバイスをつくるということにも目は向けます。しかしお客様のインサイトに基づくことを忘れると、間違った方向に進んでしまうリスクを常にはらんでいるのです」

Ankerグループでは、Amazonや自社サイトに寄せられるユーザーレビューや不具合の報告は、開発部門や品質管理部門とシステム上リアルタイムで共有されているという。プロダクトマネージャーたちはそれらに毎日目を通す。例えば発売後30日以内に特定の種類の不具合がガイドライン上の閾値(いきち)を超えて発生していた場合、「異常」と判断し、各国のカスタマーサポートのメンバーが製品を回収し精査する。それでも足りなければ本国に製品を送り返しさらに詳細な分析を行い、すぐに設計の変更や製造工程を見直し改修する。

「グローバルに展開しているAnkerのなかでも売上2位である日本には、本国からプロダクトマネージャーたちをたびたび招き、お客様の利用環境や売り場を見せています。日本のお客様に受け入れられる製品はどういうものかを多面的に理解してもらうためです」

ループを強く、アジャイルに。これこそがAnkerの強みである

徹底的なユーザーからのインサイトの吸い上げと、たゆみなく迅速さを追求する製品改善のループ。この強みを活かして、Ankerグループはなにを目指していくのか。井戸は即答する。

「ハードウェアの力を使って、お客様の生活の不便をなくしていくことです」

極論ですがと前置きをしながら、井戸が続けて語る言葉がまた奮っていた。

「ハードウェアは手段に過ぎません。ただの電子回路とプラスチックの塊には価値がありません。もちろん最先端の機能や新素材を搭載した製品をどのメーカーよりも早く提供したいとは思いますが、そこだけが重要なわけではありません。ユーザーの声に基づき、必ず出した製品を改善していく、このループが強いかどうかが重要なのです」



ループが強い、とはこういうことだ。コンパクトで可搬式の電源はAnkerの参入前にも日本では売られていた。しかし、一部のコアなユーザーにのみ利用されるものにとどまり、広く市場に広がらなかった。

価格、機能、品質、デザインといった、ユーザーがハードウェアに求める要素のうちどれかがニーズを満たしてないか、あるいはそれらのバランスが適切ではなかったからだ。

それを正しい方向に導いていくために最も信頼出来るデータポイントは、他ならぬユーザーの声。お題目ではなく、ユーザーの声を最もよく聴き、理解し、活用する者が、ネット時代のメーカー間競争では生き残る。

ロボット掃除機やモバイルプロジェクターなど、これから本格的な普及期を迎えるデジタル製品も、現時点では上記のような要素の何かが足りていない可能性がある。充電機器でユーザーへの高い価値提供に一定の成功を収めたモデルを、その他のカテゴリでも再現していけるか。Ankerグループの挑戦は続く。

取材の最後に迷いのない真っ直ぐな視線で、井戸はこう続けた。

「どんどん世の中や人々の生活が変わっていき、ユーザーのニーズも変化していく。スマートフォンやPCなどメインのデバイスがニーズを100%満たせていないとき、そのデバイスと人々の間を埋めてブリッジするような製品群をアジャイルに作っていき、ユーザーの生活を豊かにするために必要なデジタルデバイスを揃えていく。それが我々の真の価値だと考えています」

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