フェイスブックを訴えるのではなく、広告の出稿主を相手取った訴訟が起こされるのは、かなり稀だ。今回の訴えはNPO団体のHousing Rights Initiativeと、54歳のワシントンDCの住民Neuhtah Opiotennioneによって起こされた。
Opiotennioneはフェイスブック経由で、月額2500ドル程度の物件を探していたが、不動産企業の差別的措置によって、広告を見る機会を奪われたという。訴状には、フェイスブックの広告管理画面のスクリーンショットが添付されており、そこでは22歳から40歳の年齢層に限定して広告を配信するメニューが表示されていた。
原告は不動産企業が差別的な姿勢を改め、高齢者にも平等に情報を開示することを求めている。フェイスブックにコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。
2016年にNPO団体「ProPublica」はフェイスブックが広告出稿主に対し、広告のリーチ対象から、アフリカ系アメリカ人やアジア系、ヒスパニックらを除外するオプションを設けていることを伝えていた。
その後、フェイスブックは広告プラットフォームに変更を加え、人種や性別、信仰をベースとした差別を排除しようとしてきた。しかし、同社が差別的広告に関連して起こされた複数の裁判で、正式に和解に達したのは今年の3月のことだった。
ワシントン・ポストによるとフェイスブックは年内に、不動産や求人に絡む広告のターゲティングから、年齢や性別、居住地を使用できないよう、システムの改修を加えるという。
今回の訴訟を担当した弁護士のPeter Romer-Friedmanは「不動産企業らはフェイスブックでターゲティングが行えないようになれば、別のプラットフォームに乗り換えるだけだろう。差別的アルゴリズムに依存する企業は、その責任を問われるべきだ」と述べた。
弁護団はこの件を集団訴訟に発展させ、州もしくは連邦レベルの法廷で争うことを視野に入れている。