「幸せの定義」は明確か? 海外移住を成功させる採用の勝ち取り方

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Skype面接の回数はケースバイケースだが、最初の面接で、現地での最終面接の話となることもある。実際に私の場合もそうだった。そのため、Skype面接に臨む前に、予め一週間は休める期間を想定しておくと良いだろう。

さて、わざわざ日本から現地へ飛び、面接を受けるということはいわゆる大詰めの段階となるわけで、採用となる確率が高い。しかし、その場で契約書にサインをする必要はない。

というのも、単にその会社で働けるか否かだけではなく、その地で暮らせるかも同時に見極めないといけないので、そう簡単に契約書にサインできないからだ。その見極めは、一人でやっても構わないが、家族がいる場合は一緒に行くことをおすすめする。

仕事だけでなく「移住」できるか見極める

私は妻と当時2歳の子供の家族全員で臨んだ。スウェーデンでは女性も当たり前に働いているため、専業主婦という考え方はスウェーデン社会では理解されない。妻は当時、英語もろくに話せなかったが、現地で語学学校と専門学校に通い保育士になる計画を立てており、最終面接は、この計画の現実味を測ることを目的とした。このような理由があったので、家族全員分の費用を会社に負担をしてもらった。

実際に私が組んだ現地での日程と議題は以下の通り。実質3日の滞在で移住の決断をしなければならず、事前の準備は非常に重要になってくる。



ちなみに、妻は現在フルタイムで保育士としてストックホルムで働いている。これまで数々の困難を乗り越えられたのは、家族で一丸となり予め立てていた計画を忠実に遂行してきたからである。

リファレンスとは?

欧州での転職活動では一般的なリファレンス(参考人)が必要となってくる。応募者自身がリファレンスを選定し、将来の上司となる人間がメールや電話で直接コンタクトを取り、応募者について探るのである。

このリファレンスはそれなりの人物でないと信憑性が上がらない。何でも話せる仲良しの同僚では対象にならず、かといって上司にお願いするのは無理がある。スウェーデンでも「かつての上司」に頼むのが一般的だ。こうした事情を踏まえても、海外転職の前に外資系を間に挟むことが鍵を握る。私はBMW Japan在籍時にスウェーデンへの転職活動をしたが、リファレンスは前職ホンダ時代の上司にお願いした。

欧州への転職を実現したいのであれば、外資系で経験を積みながら言葉と文化の理解を深め、コネを築き、同時に幸せについて熟考することで面接の下地ができあがる。これがまさに私が踏んだステップであり、近道といえる。

次回は契約成立後のビザの申請や日本の家の売却、移住先の住環境の整え方などについて書いていく。

連載:スウェーデン移住エンジニアのライフ&ワーク
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文=吉澤智哉

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