「幸せの定義」は明確か? 海外移住を成功させる採用の勝ち取り方

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私の場合は、子供の教育、妻のキャリア、私自身のワークライフバランス、つまり家族の幸せを3本建てで考えており、それを実現できる社会と私のバックグラウンドが活かせる場所はスウェーデンしかないと伝えた。同時に、話の随所でスウェーデンの社会保障システムや教育制度に触れ、具体的に調査をしていることを匂わせた。

最初の5分で、相手に本気度を伝えると同時に、スマートな印象を与える。これがSkype面接において最も重要なポイントだ。面接は誰しも緊張はするものだと思うが、ここでつまづいては先がない。例えば、(常識の範囲内で)自分らしく心地の良い格好をするとか、コーヒー片手に受けるとか、リラックスして面接に臨むことが大事だ。

私の場合は、子どもを膝にのせながらSkypeの面接を受けた。「この子の為なんだ」と画面越しに一発で理解をさせる為に必要な手段だと考えたからだ。目的は相手に好印象を与えつつ双方の理解を深めること。そこを意識し、日本の就活の型にとらわれすぎないよう注意したい。

実は、Skype面接では私のキャリアよりも、妻がどのようにスウェーデン社会に適応していけるかがメインの話題となった。夫や子供はハッピーでも、妻の心が病んで止むなく帰国、という最悪の事態はお互い避けたい。家族の幸せが仕事よりも上位に位置する欧州では、その価値観に沿って話を進めていかないと根本の部分でズレたままとなる。

私なりに整理をすると、欧州での転職活動をする上で重要なのは、以下の3項目となる(左側が要素で、右側が私の場合を示している)。



1. 自分や家族にとっての幸せが定義できている
 →子供の教育、妻のキャリア、私自身のワークライフバランス

2. その幸せがどの社会で実現できるかが分かっている
 →スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、オランダ

3. その社会に自分がどう貢献できるかが分かっている
 →自動車業界のエンジニア(上記の国で自動車産業が栄えているのがスウェーデン)

この3点は面接だけでなく、海外移住後もブレてはならない土台となるので家族でよく議論しておくことが大切だ。単身者であっても自分としっかりと向き合い、幸せを定義しておかないと、移住後すぐに心が折れる可能性が高い。

欧州企業に総務部のようなものは存在せず、移住後には行政手続きを始めとした数々の困難が待ち受けている。頼れる友人もいない中、それを解決するのは全て自分であり、辛くなった時に常に戻る場所はこの土台となる。逆を言えば、この3つがきちんと描けていれば、面接は非常に楽になる。
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文=吉澤智哉

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