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「心ない言葉を投げかけて批判する人たちって、誰に対しても同じようなことを言う。決して私だけに向けているものではない」

彼女はそう思うようになった。「そこまで気にしすぎる必要もないのかなって。人種やアイデンティティーは変えられないし、それはもう仕方がないこと、と割り切って考えられるようになりました」

さらに、気づきがあった。「自分のコメントによって、どんな人も傷つけないようにしなきゃと学んだのです。コメントって一方的になってしまうことがあるから、そういうときは対話することが一番だなと思いました」。何ごとも行き過ぎれば、禍根を残す。

何かを間違えた人が「間違っていました」と言えるような環境づくりが大事だと思う自分がいた。

「攻撃が行き過ぎると人生まで台無しにしてしまうことがあるし、それは絶対にあってはいけないことだから」

イメージは自分の手の外にある

「イメージって自分の手の外にあるんですよね」

水原は、ふとこう話し始めた。

「コントロールなんてできません。どう見えたらいいかを気にせず、ありのままの自分を発信する。周囲のイメージは気にならないし、気にしてはいけない。このスタンスが大事なんじゃないかな、と思います」

ひとつの考えには固執しない。いまを楽しみ、自分自身も常に変化し続けられる。それが彼女にとって強みになっていった。

「常に人は変化し続けているから、考え方はひとつじゃない。人間の細胞は数カ月に一度、入れ替わるって聞いたことがあるんです。ある意味日々生まれ変わって、変化しているってことなんじゃないかな、と」

モデルや女優の仕事が好きなのも、「変身できるから」が理由のひとつ。普段つけないリップをつける。自分とは違う職業の役を演じる。「自分をカットしていくと、いろんな面が出てくるダイヤモンドみたいに思えてすごく面白い。自分にはこんなに可能性があるんだ、と思えるんです」


インスタグラム(@i_am_kiko)から。左上:「Love my room」。右上:マチュピチュでの写真。左下:母の日の投稿。右下:自身のブランド「OK」の投稿は、ギャルメイク姿を投稿。

SNSが普及し、企業が消費者とダイレクトにつながれる時代。消費者も世の中に発信でき、広告のあり方も変わり始めている。水原はディオール ビューティのアジア アンバサダーやコーチのアンバサダーなどに起用された。これは「モデル像」を大きく変える出来事だろう。

着飾った偽りの姿を発信する人ではなく、正直な思いを発信し続けることが評価され始めたのだ。

「私はどちらかというと、常に自分がいいと思ったものを発信するし、誰にもコントロールされないイメージだと思いますが、 私のことを理解していただけることが素直にうれしいんです。だから期待を裏切らないように、仕事をさせていただいています」

「私はがむしゃらに突っ走っていく性格」と笑う一方で、「自分がどこにいて、どこへ向かっているのか。冷静な自分もいます」。SNSで失敗し、辛い経験もしたが、SNSが彼女の人生を大きく変えた。

「世界の尊敬する人たちに自分の想いを届けることができ、評価してもらえる。そんなフラットな場所はほかにはない。SNSをやめようと思ったことはないですし、これからも発信を続けていきますよ」


みずはら・きこ◎1990年生まれ。 女優、モデル、デザイナーとしてマルチに活躍。個人事務所である株式会社KIKOに所属し、中華圏と米国のエージェントと業務提携する 。女優として2010年トラン・アン・ユン監督が映画化した『ノルウェイの森』に出演し、ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞にノミネートされた。コレクションモデルとしても活躍。18年アジア人初のディオール ビューティ アジア アンバサダーに抜擢。

文=徳重辰典 写真=筒井義昭

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