シネマ未来鏡


「私はこれまでのスペース・アクションとは正反対の作品をつくりたいと思っていた。エイリアンや地球外知的生命体に出会う物語ではなく、よりリアルな未来を描いた作品だ。人類は、本当は宇宙に適していないかもしれないということも追及したかった。私たちの心身は大気圏の外での高速飛行に耐えられるようにはできていないし、そうすることは、大きな代償を伴うことにもなるからだ」

自らの作品についてはこう語るグレイ監督だが、「アド・アストラ」は、オールタイムベストの2位と6位にランクインした「2001年宇宙の旅」と「地獄の黙示録」のエッセンスが含まれた快心作だけに、早くもアカデミー賞をはじめとする賞レースでの有力候補としても取り沙汰されている。


(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

また、主演のブラッド・ピットも悩める宇宙飛行士役に挑戦、これまでにない存在感があり、かつ陰影の際立つ演技を披露しており、過去3回ノミネートされている俳優としてのアカデミー賞も、今回は受賞を果たせるのではないかとも伝えられている。

ちなみに、最新の2012年のオールタイムベストで第1位に輝いた「東京物語」は1953年の作品で、この席を占めるまでに59年の歳月を要している。「アド・アストラ」という作品が、このランクのベスト10に入るのと、人類が太陽系外の宇宙にまで到達するのは、どちらが早いだろうか。

連載 : シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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