最新の順位は、2012年に発表されたものだが(次回は2022年)、フランシス・フォード・コッポラ、ウディ・アレン、マーティン・スコセッシ、クエンティン・タランティーノ他、世界の名だたる358名の映画監督によって選ばれ、第1位に輝いたのは、日本の小津安二郎監督の「東京物語」だった。
ベスト10の中には、オーソン・ウェルズ監督の「市民ケーン」(2位)やフェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」(4位)など、映画史上の不朽の名作も並ぶが、そのなかで2位(「市民ケーン」と同票)と6位にランクされているのが、「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督)と「地獄の黙示録」(フランシス・フォード・コッポラ監督)だ。
「2001年宇宙の旅」「地獄の黙示録」との類似性
ブラッド・ピットが初めての宇宙飛行士役を演じたSF作品「アド・アストラ」は、少し乱暴な言い方をすれば、この「2001年宇宙の旅」と「地獄の黙示録」を合わせて、最新の映像技術を駆使しながら、新たな21世紀の人類の物語を紡ぎ出した作品だ。
宇宙飛行士ロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、英雄だった父クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)に憧れて、同じ道へと進んだ。父は地球外知的生命体の存在を信じていて、家族を省みることなく、その探索に没頭しており、人類初の太陽系外有人探査計画の司令官として宇宙へと旅立つ。
しかし、地球を出発して16年後、父は太陽系の果て、海王星の付近で消息を絶ってしまう。音信不通のまま時が過ぎ、ロイは父の失踪にショックを受け、恋人とも別れ、人間関係に自信が持てぬ日々を送っていた。
折から地球を宇宙からの破壊的なサージ電流が襲い、世界各地で火災や事故が多発する。ロイも巨大な国際宇宙アンテナの建造を任されていたとき、このサージ電流の事故に遭い、地表へと落下、危うく命を失うところだった。
ようやく回復したロイを待っていたのは、彼が所属する宇宙軍からの極秘情報だった。それは、父クリフォードは生きていて、海王星の付近で実験を行なっており、それが原因で地球へのサージ電流が起きているというものだった。
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