その後の分析と観測により、この天体の離心率が高いことが判明した。つまり太陽系に入って出ていくと二度と戻ってこない双曲線軌道を描いているのだ。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの小惑星センター(MPC)が天体の軌道を9月11日に確認し、発見者にちなんで「C/2019 Q4 (Borisov)」と名づけた。
C/2019は太陽系に入ってきた恒星間天体では観測史上2つ目で、1つ目は2017年10月に発見された「オウムアムア(1I/2017 U1)」だ。2つとも数百万年、あるいは数十億年もの年月をかけて他の惑星系から飛来したと考えられている。
C/2019は直径が約10キロメートルもあり、尾もすでに見えている。オウムアムアにはそれほどの派手さがなかった。「オウムアムアは彗星ではなく小惑星のように見えたが、今回の天体は確実に彗星だ」と研究者は述べている。
また、オウムアムアは太陽系を脱出する過程で発見されたため、観測できる期間が数週間しかなかった。一方で、C/2019はオウムアムアよりも6倍も明るいだけでなく、太陽系に入ってきたときに発見されたため、観測できる期間が長い。
「少なくとも(太陽系に)半年間はとどまる」と、今回の発見に大きく関与した天体ソフトウェア開発者Bill Grayは話す。一方で不確実な部分もあるという。
「今後どれだけ明るくなるかは分かっていない。彗星が難しいのは予測不可能なところで、しかも今回の天体は恒星間天体だ。恒星間彗星が観測されるのは初めてだ」とGrayは続けた。
C/2019は12月10日に地球に最接近し、その距離は地球と太陽の距離の1.8倍だという「今年の12月に地球に最接近し、太陽に最接近するのも同じタイミングになる」とSpace Initiativesの物理学者Marshall Eubanksは述べた。
世界の研究者やアマチュア天文家が注目するC/2019の最接近は、今からわずか数カ月後に迫っている。