ビジネス

2019.09.18 18:00

グーグルにも絶対「アキレス腱」はある。そこにチャンスが存在する|慶應義塾大学 國領二郎




シリコンバレー流・イノベーションの「アキレス腱」

──ちなみに、いままで米国・シリコンバレー型との対比という観点で話を進めてきましたが、成長著しい中国はどう見ておられますか?

「中国モデルをどうとらえるか」というのは、真剣に考えるべきところですよね。

私もいままでシリコンバレー型の、オープンな環境こそがイノベーションを生むという考えでいましたので、中国のようにある種、閉鎖空間の中でやっても絶対成功しないと思ってたんです。けれど、中国単体で十分に市場が大きいゆえに、きちんと成立していますよね。

むしろ、中国の中で成功したモデル、例えばWeibo(中国版ツイッター)やAlipay(オンライン決済サービス)は中国の外でも使えるようになってきた。中国という空間で起こったイノベーションが世界に革新を起こし始めている。これは、もはや今までの考え方を改めざるを得ない、新しいモデルの出現だと感じています。

──イノベーション創出モデルでも、現在の常識ではない部分が出てきていると。

それを言うと、私の世代の考え方では古くて対応できないのかもしれません。私の世代では開放的で自由であることこそがクリエイティビティの源泉だと信じてやってきて、それなりに成功してきたように思います。

でも今は違うモデルが到来しているという気もします。それを謙虚に受け止めなくてはいけない。いままでの常識ではオープンであることを是として、そのオープン性を保つために多種多様なコストを払っていますが、それをバサッと省いてしまっていいんだったら、簡単に色々なことができる。これは旧来の考え方にはないイノベーションモデルだと感じています。

そう考えると、自由さ・オープン性こそがシリコンバレー型のイノベーションモデルが蹴り飛ばされつつある「アキレス腱」なのかもしれませんね。

だと仮定するならば、その先を見据えて、さらに逆転するために何をすればよいか。そのようなしたたかさが我々には必要です。その作戦も立てなくちゃいけないですね。

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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