働き方改革が進む中、大きな成長を遂げる企業にとって、社員のエンゲージメントを上げることが急務となっている。そこで、そうした課題にコミットすべく登場したのが「Unipos」だ。同サービスの強みを、経営者、そして人事トップたちはどう見ているのか?
「私たちは、社員間の信頼関係を何よりも大事にしています。信頼があるからこそ、組織の意思決定に関わる重要な情報もオープンにし、結果、社員一人ひとりが自発的に変化を起こすようになると考えます。変化の激しい経営環境の中で、意思決定権を現場に委譲していかなければ、スピードも競争力も上がりません。経営者と現場の社員たちが縦の関係ではなく横の関係になることで、現場の能力、意思決定力を最大化することが重要です」
2018年 6月に東証マザーズに上場し、フリマアプリ「メルカリ」だけでなく、スマホ決済サービス「メルペイ」も好調なメルカリは、小泉文明氏が取締役社長に就任してわずか2年足らずで、社員数を1000人以上も増加させている。
急速な成長を遂げる中、同社は冒頭の「Trust & Openness」を会社のカルチャーとすべく、「社長室を設置しない」「Slackやカレンダーを社内で公開する」などの取り組みを実施。経営に関わるものを含め、さまざまな情報共有を積極的に行ってきた。中でも、「社員のモチベーション維持に大きな貢献をしてくれた」と小泉氏が話すのが、Uniposの導入だ。
「もともとメルカリでは、四半期ごとに表彰するMVPを設けていました。ただ、3カ月に1回となると、どうしても目立つことをやった人が評価されやすい。よりリアルタイムに、より気軽に称賛しあえる会社になろうと、2年ほど前にUniposを導入しました」
メルカリでは、社内で使われていたSlackにUniposを連携し、日々の感謝を伝えあっている。毎週社員全員に400ポイント(1ポイント=1円※ポイント換算額は企業ごとに自由に設定可能)のメルチップ(ピアボーナス)が支給され、自由に送りあうことが可能だ。平均で、1日に1600件もの投稿がある。
「金銭報酬といっても、1回数十円、ひと月にして数千円になるかならないか程度です。支給されたメルチップが終わっても称賛を送り続けるメンバーもいますし、利用するのはお金のためだけではないでしょう。それより、これからの時代、社員のモチベーションを維持するためには、金銭報酬だけでなく、非金銭報酬、つまり『感謝』や『称賛』が重要だと感じます。それが『この人と仕事がしたい』『あなたが必要だ』という思いの見える化につながるのです。
組織が大きくなればなるほど、経営者からはマネージャーをはじめ、リーダーシップを取る人たちしか見えなくなります。でも、その背後には、彼らを支えている次期マネージャー候補やリーダー候補、プロフィットセンター以外にコーポレート部門で活躍する人もいる。Uniposによって、彼らにもスポットが当たるようになりました」
感謝の可視化が挑戦をやめない 競争力の高い組織をつくるメルカリは3つのバリューを掲げている。「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be a Pro(プロフェッショナルであれ)」
Uniposによってこのバリューに沿った具体的な行動も可視化されるようになり、その強化にもつながった。
「良い1 on 1ができたあとなどに、部下から上司に対して感謝のメルチップが送られていることがあります。従来の評価制度では、下が上を評価する仕組みはありませんでした。バリューが浸透し、そこに即した情報量が等しくなってくると、上下間にとらわれず評価できるようになる。もちろん、評価といってもUniposでは基本的に感謝が飛び交っているので、それが働きがいにもつながっていると思います」
Uniposで飛び交う感謝の言葉に、小泉氏も笑みをこぼす。
「夫婦関係と同じで、日々顔を合わせる同僚たちに対しては、ついつい感謝を伝えることを忘れがちです。その雰囲気が組織をマンネリ化させる。でもUniposなら、誰かが誰かに感謝を伝える様子が見えるので、感謝のコミュニケーションが誘発されます。それが継続されることで、文化として感謝する姿勢が根付くはずです」
メルカリでは、そうした感謝のコミュニケーションを誘発する“積極的に感謝を伝える人”も重要だと考えている。彼らは、組織を前に進めるドライバーだ。だからこそ、彼らのことも表彰するのだという。
「メルカリは短期間で成長して、よくできた会社と見られがちですが、まだまだベンチャーフェイズだと感じています。日々悪戦苦闘しながら努力を続け、チャレンジした結果、ミッションを達成できる企業でありたい。そのチャレンジを先導する人、実働する人、支える人。誰もが必要な人材です。少しでも今日仕事に行くのが楽しくなるように、称賛文化による明るい雰囲気づくりは有効です。そうして、より競争力も高めていきたいですね」
自社の経営そのものを近くに感じ、共に強化する。経営者による情報設計が、組織力を左右していくのだろう。
従業員エンゲージメント向上とバリューの浸透を同時に叶えるUniposとは?感謝と少額の成果給「ピアボーナス」を従業員同士が送りあえる企業向けサービス、「Unipos」が話題だ。四半期に一度の評価では拾いきれない日々の貢献にスポットライトが当たることで、従業員エンゲージメントの向上に効くという。
従業員一人ひとりの貢献がバリューの#ハッシュタグと共にリアルタイムに全社にシェアされれば、従業員のバリューに対する理解が深まり、行動へと繋がっていく。こうして互いを知り、認め合うことで従業員同士に信頼関係が生まれ、ひいては新しい挑戦を促進する心理的安全性が生まれるのだ。
実際の投稿イメージ。経営から見えづらい現場に埋もれている「ありがとう」が可視化されていく。小泉文明◎メルカリ取締役社長兼COO。大和証券SMBC(現大和証券)の投資銀行本部にてインターネット企業の株式上場を担当した後、2007年にミクシィへ。取締役執行役員CFOに就任しコーポレート全体を統括。13年にメルカリに入社し、17年4月より現職。
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