ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

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米国のニュースメディアが、ネット広告の「禁句リスト」に振り回されている。

どういうことかというと、近年、ネット広告の伸長は著しいが、世間のネットリテラシーの向上にともない、広告主も、「サイトの中身と広告はまったく別」というスタンスをとれなくなってきた。

その結果、コンテンツ中に「禁句」が含まれているなら、そこには広告を出すべきでないという判断が生まれ、それとともに禁句リストもどんどん拡大してきている。

そして、この影響で、ネットで展開されているニュースメディアは広告を取れなくなってきている。なぜなら、この世の中で、広告主たちが忌避する禁句をもっとも含んでいるのはニュースだからだ。

サブウェイもマクドナルドも

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、世界最大級の金融会社であるフィデリティー・インベストメントは、400もの禁句をリスト化しており、それには「爆弾」や「移民」、さらには「人種差別」という言葉まで含まれており、まさに毎日のニュース報道で繰り返し伝えられる事柄そのものが続く。

また、サンドイッチの全国フランチャイズチェーンのサブウェイは、7万にも及ぶウェブサイトをブラックリストにしていて、ここにネット広告が上がらないように広告代理店に指示をしている。

マクドナルドも同様で、いわゆるハードニュース(重くて深刻な政治・経済関連のニュース)には広告を載せないようにしている方針とのことで、ブランドイメージは一度毀損されると修復はとても困難だと、周囲に説明している。マリオットホテルはもう少し寛容だが、社説や意見が表示されるページには広告を出さない方針を持っているという。

文字としてディスプレイ上に現れる禁句は、検索すれば事前にわかるが、動画の中で人物が喋る禁句については、扱いはもっと難しい。

ブランドイメージを重視する企業は、ブランド・セイフティー・オフィサーなる新しい職種のマーケターを雇い、人種差別を助長するような主張を含む動画や、政治的に右か左かのどちらかに偏ったYouTubeの映像などに、自社の広告が出てこないよう管理をさせている。

そもそものブランド・セーフティとは、「広告掲載先として不適切な違法・不当サイトへの表示を防止」すること(ヤフーが今年発表した「広告品質のダイヤモンド」内の定義による)を意味していたはずなのだが、ネット業界ではブランド・セーフティがどんどん進化し、「言ったらアウト」という禁句リストに振り回されるようになった。

広告主は広告代理店を使い、広告代理店は広告主のブランド・セイフティー・オフィサーと一緒に、禁句発見アルゴリズム会社を使う動きとなり、広告コストは上がってきている。

文=長野慶太

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