AI分野のトップ起業家が語る「人工知能に関する最大の誤解」

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フォーブスは先日、人工知能(AI)分野で優れた実績をあげた企業50社を選出する「AI 50」ランキングを公開した。AI 50に選ばれた企業の幹部らはいずれも、先端的テクノロジーの活用によって、新たな価値をもたらそうとしている。

しかし、世間の人々の多くはまだAIを完全に理解しておらず、その普及が人類に脅威をもたらすという考え方に陥りがちだ。

AffectivaのCEOのRana el Kalioubyは、AIが邪悪な存在だと考える人が多すぎると話す。「AIはこれまで登場したテクノロジーと同様に中立的なものだ。大事なのはAIで何をやるか。私たちの役割はAIのエコシステムを正しい方向に導いていくこと」と彼女は話した。

企業はAIが格差を拡大する可能性もあることを意識しておくべきだ、とKalioubyは付け加えた。「AIを扱う企業は倫理観やプライバシーについて考える必要がある」

Bossa Nova RoboticsのCTOのSarjoun Skaffは、AIに関する最大の誤解は、人工知能そのものが優れた知性であるかのような考え方だと話す。

「実際のところ、AIが備える知性は平凡なものだ。AIは非常に優れたマッチングツールであり、それをうまく動作させるためにはブラックボックスとして捉えず、内部の構造を詳細に把握する必要がある。優れた動作をさせるために、結局のところ人間の手が必要なのだから」

Airaの共同創業者のSuman Kanugantiも同様な意見だ。「人々は現状のAIを過大評価しすぎている。例えるならば、実際は初期のMS DOS程度のものなのに、Windows 10のように思われている。現状のAIの知能は3歳児程度のものだ。まだまだこの先の道のりは長い」

AIは過大評価される一方で、それを正しく動作させるのがいかに大変であるかを人々は理解していないと話す起業家も多い。「込み入ったビジネス上の課題にAIモデルを単純に投げ込んでも、何の成果も得られない。AIモデルを適切な形に仕上げて、課題に適用する必要がある」とAlgorithmiaのCEOのDiego Oppenheimerは話した。

AIが人々の職を奪うという話をよく聞くが、「それは誤解だ」とこの分野の起業家らは口を揃える。People.aiの創業者のOleg Rogynskyyは、AIが職業を奪うのではなく、新たな機会を創出するツールであるという捉え方が正しいと話す。

「AIは今後、2つの任務を行うことになる。その1つは、オートパイロット(Autopilot)化で、これにより単純な反復作業が自動化される。もう1つが、人間の仕事を適切な方向に導き、効率化を進める役割でこれをコパイロット(Copilot)と我々は呼んでいる。オートパイロットによって、単純で退屈な反復作業は人間の仕事ではなくなる。コパイロットは人々のガイド役として、人間に新たな仕事をどうこなすべきかを教えることになる」とRogynskyyは話した。

編集=上田裕資

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