I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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フランスのダンケルク市では昨年9月、住民と観光客向けの無料バスを導入して以降、自家用車の利用が激減した。同市の人口は市内で9万人余り、都市圏では約25万7000人だ。

調査によると、同市でのバス利用は平日で60%以上増加し、休日には倍以上になった。また利用者に対するアンケートでは、48%が自家用車を自宅に置いたまま外出していると回答し、5%がマイカーを売った、あるいは2台目を購入しないことに決めたと回答している。

さらに回答者の3分の1は、バスが無料でなければしなかったような外出をしていると述べている。便利な交通機関が無料で利用できるようになったことだけでなく、乗車カードや現金、身分証明書についての心配が無用になり、移動時に生じ得る問題がなくなったことにより、需要が増加したのだ。

ダンケルクの他にも、エストニアの首都タリンやルクセンブルク、フランスの23自治体で無料の公共交通機関が提供されており、都市という概念を「サービス」として再解釈する上での明確なトレンドとなっている。パリのアンヌ・イダルゴ市長も、悪化する交通渋滞と大気汚染への対策として、公共交通機関の無料化を検討してきた。同市では既に、11歳未満の子どもは公共交通機関を無料で利用できる。

リトアニアのビリニュスやラトビアのリガも、タリンに追従し公共交通機関の無料化を検討している。また、フィンランドの首都ヘルシンキなど他の欧州都市では、全ての都市交通機関をまとめ、アプリを通じて月額一律料金で使用できるようになっており、人々はマイカーを使用しなくなっているようだ。ヘルシンキでは、試験導入された自動運転バスも好評を得ており、これはコスト削減にもつながる。

いわばコストセンターとしての都市公共交通機関を再評価し、街が抱える最も喫緊の問題を緩和することは合理的だ。経験の蓄積により、各都市にとってどのアプローチが最適かを決めるのは楽になっているはずだ。無料の交通機関は、私たちの町や都市の未来となるのだろうか?

編集=遠藤宗生

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