進化するプロバイオティクスと期待される「生きた薬」の開発

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細菌が健康に関するさまざまなプロセスに関与しているのであれば、健康に関して重要な問題に取り組むため、合成生物学の研究者らが「生きた薬」を開発しようとするのは当然のことだ。

米国のZbiotics(ズィ―バイオティクス)は、世界で初めて遺伝子組み換えプロバイオティクスの開発に成功した。生物工学によって同社が作ったプロバイオティクスは、体内における酵素の生産を促すように設計されたものだ。酵素は腸内に残留している毒性のある化学副産物を分解する。つまり、二日酔いを防ぐことができる。

また、米Synlogic(シンロジック)は、私たち自身の細胞を活性化することによって免疫調節剤などの効果を引き上げ、がんを治療することが可能だと考えている。ベルギーに拠点を置くActoBio(アクトバイオ)は、チーズやその他の食品を作るのと同じ細菌を使い、糖尿病の治療薬を開発した。

米国ではその他、歯科医らが創業したオラルタ(Oralta)が口臭を取り除くタブレットを販売。アズィトラ(Azitra)が、湿疹などの皮膚疾患の治療薬を開発している。

(筆者は合成生物学の分野で活動する起業家や投資家、企業のネットワークであるシンバイオベータ(SynBioBeta)の創設者で、Zbioticsの顧問。上記の企業の一部は、SynBioBetaのパートナーだ)

規制の必要性

マイクロバイオームに関する研究と同様、プロバイオティクスの改変は比較的新しく、規制が追いついていない分野だ。消費者を保護し、イノベーションを促進するための規制がない段階では、企業が新しいプロバイオティクスに積極的に多額を投資するようにはならない可能性もある。

編集=木内涼子

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