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ロシアではここ数年、危険な施設での爆発事故が相次いでいる。9月16日にはシベリアのノヴォシビルスク州コルツォヴォにある研究所で、爆発事故が起きて火災が発生した。

この研究所は旧ソ連時代に生物化学兵器を開発し、現在はエボラや天然痘、細菌兵器に使われる炭疽菌の研究を行う「ベクター研究所(Vector facility)」と呼ばれる施設だった。ベクターは世界で2カ所しかない天然痘の貯蔵を行う施設の1つで、もう1カ所は米国のCDC(疾病管理予防センター)がアトランタに構える施設とされている。

ロシアメディアの報道によると、現地の消防チームが直ちに現地に急行したが、事故レベルは通常の緊急事態から重大インシデントに引き上げられたという。ロシア当局によると、生物学的な物質が「貯蔵されていないエリア」の消火作業は終了しており、1人の怪我人が出たものの、建物に被害は無いという。

ロシアの政府系メディアは施設の主任が、この事故による生物学的な物質の拡散は起きていないことを強調したと報じた。しかし、この施設にエボラや天然痘、炭疽菌などが貯蔵されていたことは事実だという。ベクター研究所では15年前、エボラウィルスにより1人の科学者が死亡しており、安全管理に関する懸念が高まっていた。

今年8月には、ロシア白海に面したアルハンゲリスク州にあるミサイル実験場で爆発が起き、少なくとも5人が死亡した。この事故は、開発中の原子力巡航ミサイルの実験中に起きたとの見方が強まっており、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、ロシア政府が放射能汚染の実態を隠蔽していると報道していた。

ロシア政府がメディアに圧力をかけ、情報を隠蔽したことはほぼ確実であると考えられている。今回のベクター研究所での事故で、同様な工作が行われたとの報道はまだ無いが、今後の事態の推移を注意深く見守りたい。

編集=上田裕資

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