ワッツアップが香港警察のアカウントを強制削除した理由

Photo by Chesnot/Getty Images

フェイスブック傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」は、香港の民主化デモの参加者のデータを収集しようとする香港警察のアカウントを無効化した。

香港警察はワッツアップで写真や動画を共有し、抗議活動の様子を把握しようとした。しかし、フェイスブックはワッツアップの利用規約に「個人の利用に限定する」との一文を盛り込んでおり、香港警察はこの規約に違反していた。

香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」が9月13日に報じたところによると、香港警察がアカウントを開設してから72時間以内に削除が始まったという。その後、間もなく全アカウントが利用不能になった。

香港警察側は、「様々な要因を考慮に入れて、アカウントを一時的に閉鎖したが、今後も様々なツールを用いて情報収集にあたり、犯罪を未然に防ぐ努力を行う」と述べている。

しかし、フェイスブックは香港警察の主張を否定した。「ワッツアップは個人向けのメッセージルールであり、一度に大量のメッセージを送信するような行為を排除している」と広報担当は述べた。

SCMPの記事の取材に応えた匿名の関係者は「香港警察は十分なリサーチを行わずに、ワッツアップの利用を開始した。彼らがアカウント閉鎖に追い込まれたのは当然だ」と話した。別の関係者によると、香港警察は1度に1万件ものメッセージを発信しようとしたため、ワッツアップの運営は即座に異常を検知したという。

ワッツアップは月に約200万件のアカウントを、メッセージの一斉送信などの不正行為を理由に削除しており、このような行為は簡単に察知できるものだ。

香港警察は先日、メッセージアプリ「テレグラム」内の抗議活動家のグループから、個人情報を盗み取ろうとしたが、テレグラムの運営者はシステムの改修により、この攻撃を無効化した。香港の民主化デモでは既に1000人以上が逮捕されており、メッセージアプリのセキュリティは非常に重要な問題となっている。

編集=上田裕資

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