ビジネス

2019.09.17 17:00

カリスマ経営者を失ったアリババとジャック・マーの今後

Photo by Chesnot/Getty Images

創業者のジャック・マーが、経営から離れた後の中国のアリババはどこに向かっていくのだろう。20年近くもの間、アリババの経営を率いてきたマーはカリスマ性と先見性で知られ、彼が会社を去ることは会社にとって大きな痛手にもなり得る。

米中の貿易摩擦の高まりの中で、アリババに求められるのは強力なリーダーシップだ。しかし、権限の移譲は数年も前から進められてきており、大きなショックが同社を襲うことは無さそうだ。マーの後継者として、副会長兼CEOに任命されたダニエル・チャンは、アリババの多くの新規事業を立案し、実行力をふるってきた人物として知られる。

世界最大のEコマースの祭典として知られる11月11日の「独身の日」のコンセプトを立案したのはチャンだった。彼はまた、デジタルをフル活用した生鮮食品スーパーの「盒馬鮮生(Hema Xiansheng)」の立ち上げにも関わった。盒馬鮮生はアマゾンの「アマゾン・ゴー」の先を行く、未来的な食品ストアとして知られている。

マーは2020年までは、アリババの役員会にとどまり、今後も一定の影響力を持つことになる。20年近くの間、トップを務めてきたマーの理念は今後も会社に受け継がれていくだろう。

マーと共にアリババを創業し副会長を務めたジョセフ・ツァイも、今後は経営を離れ、後任には現CFOのマギー・ウー(武衛)が就任する。ツァイは今年8月に、米NBAのブルックリン・ネッツを23億5000万ドル(約2500億円)で買収しており、今後は同チームのオーナーとしての任務にあたることになる。

アリババの会長を引退したマーが今後、ビル・ゲイツのような慈善活動家の道を歩み始めることも十分考えられる。特に中国の教育分野で、彼が力を発揮することが期待される。

中国はテクノロジー分野では様々なイノベーションを生み出したが、教育分野でも米国に追いつくために、従来の枠にはまらない発想が求められている。アリババを創業する前に英語教師だったマーが、今後は中国の教育業界を変えていくかもしれない。

編集=上田裕資

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