ビジネス

2019.10.01

シリコンバレーの有力シードファンド「500 Startup」のデモデイ、登壇29社を一挙紹介

撮影=小室智昭


23. Crash

同社は、求職者が企業向けに学歴、職歴、スキルなどを公開できるリバースジョブボードを提供している。通常は、企業が求人広告を雑誌、新聞、掲示板に掲載するが、同社のリバースジョブボードはその逆で、求職者が企業に自分をアピールできるようになっている。Crash社は、2024年までに1000万人の求職者の利用を目指す。



24. Hearo.Live

ソーシャル機能を有したデジタルコンテンツの流通プラットフォームを開発している。ユーザーは、最初にコンテンツの選択、その次にコンテンツを一緒に視聴する友達の選択をするだけで、友達とチャットや会話をしながらコンテンツを視聴することができる。映画やビデオだけでなく、ゲーム映像も視聴できるようになっている。



25. Dispachr

その土地の洪水、山火事、干ばつなどの自然災害リスクを分析し、災害が発生した場合でも、リアルタイムに状況をモニターできるプラットフォームを提供している。



26. Renaissance

エンターテイメント市場を拡大させるために、断片化しているストリーミングサービスを集約してくれるサービスを提供している。現在は、北米、ヨーロッパを主なマーケットとし、コンテンツは、Spotify、Apple Music、YouTubeにしか対応していないが、順次拡大させていく予定のようだ。まずは、ユーザーベースを拡大させるために無料で提供し、ユーザーベースの拡大後、課金モデルを検討するという。



27. Docket

企業法務の業務はほとんどがマニュアルで行われている。さらにツールもメール、エクセル、クラウドストレージなどを利用していて、統合されていない。そこで同社は、企業法務の業務の円滑化を実現できるクラウドベースの業務フローマネージメントサービスを開発した。企業法務のマーケットはさほど大きくないが、同社は、会社を設立して3カ月で50社以上の企業ユーザーを獲得した。今後は、Salesforce(営業)、Atlassian(エンジニアリング)、Workday(HR)などとの連携して企業が持つ法的データを対象とすることで、巨大なマーケットの獲得を目指している。



28. Alluva

仮想通貨の価値変動を予測するプラットフォームを提供している。仮想通貨の価値変動を正確に分析できた人は、謝礼として同社が発行する仮想通貨を得ることができる。

 

29. Beatapp

アーティストの作品の利用状況をモニターリングすることで、音楽事務所が本来受け取るべきロイヤリティを守るプラットフォームを提供している。 ブロックチェーンを用いた認証機能により、アーティストの作品の不正利用を防げるようになっている。



今回のデモデイを見ると、ピッチ資料も分かりやすく、以前と比べるとスタートアップのプレゼンレベルが上がっているように感じた。

動画配信、音楽配信などのエンタテイメントに関するスタートアップが目立ったが、裏では人工知能、機械学習によるアナリティクス(分析)を行い、ユーザーエンゲージメントを高める仕組みが組み込まれている。IoTにおいては、スタートアップのビジネスモデルがプラットフォーム提供から分析データ提供へとシフトしていることを考えると、アナリティクス系のスタートアップは見逃せないところだ。

個人的には、FitzyTV社が気になる。Netflix、HBOなどが人気を集めている米国市場において、過去にも同様のサービスが生まれては消えていている。ケーブルテレビに対抗して低価格なテレビサービスを提供しているYouTubeTVも6月に値上げをするなど、生き残りは厳しいかもしれないがFitzyTV社には頑張ってほしい。

クリステン・ツァイ氏は、今回のデモデイに参加したスタートアップの30%が非米国企業だと語ったが、残念ながら日本企業はいなかった。日本のスタートアップもお祭り的なカンファレンスに出展するのではなく、このような育成プログラムに参加し、世界に通じる企業へと成長してほしい。

文・写真=小室智昭

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