授業にアクティブラーニングを導入、評価も難しく
──小学校の通知表はどうなっていますか。先生は細やかな評価はできるのでしょうか?
昔のような1~5段階の評価ではないですね。1年生の1学期は差をつけず、2学期から「よくできる・できる・もう少し」といった3段階になるところが多いようです。中には、段階をつけず、児童のいい部分を先生が書きこむ学校もあります。
確かに、先生が評価しきれない部分はあります。今までは、「ペーパーテストで〇〇点以上がこの成績」といった指標が中心でした。ところが最近では、議論やグループワークの「アクティブラーニング」が盛んになり、みんなで行動する授業を、先生が観察して評価をつけるように変わってきている。
高学年になると、みんなで考えましょうというグループディスカッションがあり、リーダーシップを取れているか、相手の行動によって反応を変えられるかという点が見られます。児童の共感力が重視される傾向があります。
先生は、全員のそういった態度まで把握しきれないでしょう。先生の「理想とする子ども像」で評価せざるをえません。親も子も、「協調性」や「自主的に発言するかどうか」の△や×を気にしないでください。それでなくとも、小学校の先生は、提出する書類が多くて忙しいのですから。
小1の壁は、実は親の壁
──通知表だけでなく、音楽会や運動会の選抜に、作文・絵の貼り出し。先生の主観で決められているようで、不満を感じる保護者もいます。
小学校の新しい生活にとまどう「小1の壁」は、実は親の壁なんですね。幼稚園や保育園では競争がなかったのに、学校では点数をつけられる。子どもを信じる気持ちが大きかった親も、信じられなくなり、学校の評価でぐらぐらしてしまうんです。
学校での競争は、昔からありました。今はかけっこで順位をつけないとか、競争させない風潮もあるものの、多くの学校で運動会や行事での選抜はあります。先生は、あまり意識せずに決めていると思います。この子はうまくやるんじゃないかと、先生の評価軸や都合で選ぶのではないでしょうか。明らかに公平でなく、選んだ基準がわからないケースもあるでしょう。