サムスンがアップルに絶対勝てない2つのポイント

(iPhone 11 / GettyImages)

アップルがリリースした「iPhone 11」について紹介するべきことは多いが、9月10日に行われたローンチイベントで筆者は2つの点に注目した。

消費者の買い替えサイクルが遅くなっていることを反映したのか、単純な方針転換なのかはは不明だが、今年のイベントは下取りプログラムや低価格のストリーミングサービスなど、バリューとサービスに重点を置いた内容となった。

最近の消費者は、低価格とバッテリーパワー、カメラ機能をスマホに求めている。アップルが発表した「iPhone 11」シリーズはこれらのニーズに応えているが、果たしてサムスンが最近リリースした「Galaxy Note 10」よりもお買い得なのだろうか。筆者の答えはイエスだ。以下のその理由を説明しよう。

カメラ機能に特化したAI

アップルは、グーグルのように消費者の検索クエリを収集しておらず、AIアシスタントの全般的な性能ではグーグルに劣る。しかし、AIを特定の機能に特化することで、ユーザー体験を格段に向上できることをアップルは証明してみせた。

その良い例が、新たなカメラ機能「Deep Fusion」だ。これは、ユーザーがシャッターを切るとカメラが複数の写真を撮影し、それらをつなぎ合わせることでよりきめ細かく、ノイズの少ない画像が撮影できるものだ。他にも、広角の画角をカメラアプリでプレビューしたり、撮影後に画角を標準から広角に変更することが可能になった。さらに、暗所での撮影で自動的に切り替わるナイトモードが実装されている。

このようにカメラ機能に特化すれば、アップルはAIでグーグルに対抗することが可能だ。サムスンもAR(拡張現実)技術を活用した「Bixby Vision」を開発したが、あまりヒットしなかった。

スマホ業界において、アップルほど値引きを嫌うメーカーはいないだろう。同社には熱烈なファンが多く、これまでは価格を引き下げる必要がなかった。

「Apple TV+」が強みとなる

しかし、今年はこれまでと少し様子が異なる。アップルは、新品および整備済のiPhoneを購入した顧客に対し、動画ストリーミングサービスの「Apple TV+」を1年間無料で提供すると発表した。端末購入とストリーミングの値引きが抱き合わせで提供される事例は他にもあるが、今回のアップルの取り組みは2つの点で他とは異なる。

まず、Apple TV+ではオリジナルコンテンツを9作品視聴することができ、今後数ヶ月で5作品が追加される予定だ。コンテンツ制作には、ビッグネームが多く関わっている。他社が提供するような10年前のホームドラマが視聴できるサービスより格段に魅力的だ。

2点目は、これがアップルにしかできない芸当だということだ。同社は独自のストリーミングサービスを立ち上げ、競合よりも格段に安い価格に設定した。配信するコンテンツは莫大なコストをかけて独自制作したものだ。

これが1年間無料というのは非常に魅力的だ。年末のホリデーシーズンを控え、さらに魅力的な条件が追加されるかもしれない。

アップルは今後、端末の価格をさらに引き下げる方向には出ないかもしれないが、Apple TV+のようなサービスの無料提供には柔軟に対応すると思われる。一方、サムスンのNote 10を購入すると、スポティファイのプレミアムプランが6ヶ月、ユーチューブ・プレミアムが4ヶ月無料で利用できる。これも良い条件だが、アップルとは比較にならない。

編集=上田裕資

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