今回は、2019年6月に開催されたカンヌライオンズから、話題作をピックアップ。「メディアではないものをメディア化した」ことにより、メッセージを伝えることに最大の効果を挙げた最新事例を紹介しよう。
大人気ゲーム「フォートナイトの世界」に入り込め!
取り上げるのは、ハンバーガーチェーンWendy’sによる「Keeping Fortnite Fresh(フォートナイトを新鮮に保て!)」だ。カンヌでは、ソーシャル&インフルエンサー部門ブランプリを始め、多くの賞を受賞した。
「フォートナイト」は、バトル系のオンラインゲーム。世界中で約2億人がプレイしているとも言われ、アメリカやヨーロッパでは、社会現象も起こしたほどのメガタイトルだ。この人気ゲームの世界に、Wendy’sは目をつけた。
Wendy’sのモットーは、「冷凍肉は一切使わない」こと。それを伝えるため、Wendy’sはこの圧倒的人気ゲーム“内”で、ある行動に出た。
自社のキャラクターと同じ“赤毛でおさげ”のアバターを使って、ゲーム内にもぐりこみ、ハンバーガーショップの“冷凍庫”を片っ端から破壊したのだ。752台も冷凍庫を壊しまくったことが、プレイヤーの間で面白いと人気になり、大きな話題を呼んだ。
冷凍庫を破壊するシーン (動画よりスクリーンショット)
Wendy’sがバーガーショップの冷凍庫を壊すことで伝えたかったのは、「ハンバーガーには冷凍肉を使うべきではない、我々は使っていない」ということ。そのメッセージを、いわゆるメディアではなく、既存の大人気ゲーム内での行動によって伝えたのだ。