イタリア、ドイツ、フランスのクラブも遅れをとるまいと、2019年夏の移籍市場で移籍金総額の記録を塗り替えている。プレミアリーグとラ・リーガの次に多額を投じたのはイタリアのセリエAで、新選手の獲得に費やした金額は11億7000万ユーロ(約1399億円)に上る。
そのあとに続くのが、ドイツのブンデスリーガに所属するクラブの7億4000万ユーロ(約885億円)。そして、フランスのリーグ・アン所属クラブの6億7000万ユーロ(約801億円)だ。
デロイト・スポーツビジネス部門パートナーのダン・ジョーンズ(Dan Jones)は、「かつてない規模の移籍金が動いた背景には多くの要因がある」と解説する。「たとえば、リーグ放映権の契約更新による追加収入や、欧州サッカー連盟(UEFA)が主催するクラブチームの大会へ出場することで得られる賞金と分配金がある。また、各クラブ特有の要因としては、マネジメントの交替や、チームとしての目標達成に向けた戦力強化などが挙げられる」
「欧州サッカークラブの財務業績が向上したことで、クラブがトップ選手を売却する必要性も減ってきている」
ジョーンズはさらに、プレミアリーグ所属のクラブは記録を破る勢いの資金を投じているが、同時に収支のバランスを取ろうと努めている点も指摘した。純支出は6億3500万ユーロ(約760億円)と、ここ4年間の最低額だ。
「2019年夏に投じられた移籍金は、記録にわずか届かず、純支出は2015年夏以来、最も少なかった」とジョーンズは述べる。
「この純支出額は、売上の11%にあたる割合であり、2011年夏以来の最低水準だ。ただし今後数シーズンは、報酬は売上よりも大きな割合で増加すると予想される」