イングランドのプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、ドイツのブンデスリーガ、フランスのリーグ・アン、イタリアのセリアA。これら欧州5大リーグの所属クラブが、2019年夏の移籍市場(移籍が可能な期間。シーズン終了後から翌シーズン開幕まで)で選手獲得のために投じた金額は、55億ユーロ(約6579億円)という記録的な数字に達した。デロイトトーマツグループのスポーツビジネス部門の分析で明らかになった。
前年2018年夏と比較した伸びは9億ユーロ(約1077億円)だが、トップ級のクラブがますます潤っていることが表れている。
2019年も、世界で最も潤沢な資金を擁するプレミアリーグの所属クラブが、移籍金総額でトップに立った。同リーグに所属する20チームが新戦力獲得に投じた額は合計15億5000万ユーロ(約1854億円)。2017年に記録した史上最高額をわずかに下回ったかたちだ。
2019年夏の最高額選手は、9700万ドル(約105億円)でマンチェスター・ユナイテッドに移籍したハリー・マグワイアだ。ディフェンダーの移籍金としては世界最高額となる。
ロンドンをホームタウンとするアーセナルは、同クラブ史上最高額となる8970万ドル(約97億円)で、ウィンガー(ウイング担当)のニコラ・ペペを獲得。一方、同じロンドンに本拠地を置くライバルのトッテナムも大盤振る舞いし、ミッドフィルダー(MF)のタンギ・エンドンベレを迎えた。
2019年夏の移籍市場では、プレミアリーグ所属の11クラブが、個人選手の獲得金額で記録を塗り替えた。
莫大な移籍金を払ったのは、プレミアリーグの「トップ6チーム」(アーセナル、チェルシー、リヴァプール、マンチェスターC、マンチェスターU、トッテナム)だけではない。エヴァートン、ウェストハム・ユナイテッド、レスター・シティ、ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズも9650万ドル(約104億円)以上を投入。前シーズンにプレミアリーグに昇格したアストン・ヴィラも、新戦力獲得に1億5000万ドル(約162億円)を費やした。
欧州での競り合いでイングランドのクラブに負けまいとしたかのように、スペインのトップリーグ「ラ・リーガ」所属クラブも、新戦力獲得に13億7000万ユーロ(約1639億円)という記録的な額を投じている。
ラ・リーガに所属するクラブが、合計で10億ユーロ(約1196億円)以上を移籍市場に投じたのは初めてのことだ。この額は、2年前の倍となる。
合計金額の大半を占めているのはもちろん、同リーグの3大クラブであるアトレティコ・マドリード、バルセロナ、レアル・マドリードだ。バルセロナは、アトレティコ・マドリードのアントワーヌ・グリーズマンを1億3460万ドル(約146億円)で獲得した。
一方のアトレティコ・マドリードはその穴を埋めるべく、若干19歳のFWジョアン・フェリックスを獲得。移籍金は1億4130万ドル(約153億円)で、フェリックスは世界で最も高額な10代の選手となった。アトレティコ・マドリードは今夏、ほかにも数々の選手を補強しており、移籍市場の期間中はきわめて多忙だったようだ。
アトレティコ・マドリードが新たに補強したのは18人で、移籍金の総額は推定2億6500万ドル(約287億円)。しかし、グリーズマンをはじめとする主要選手を売却したこともあり、7560万ドル(約82億円)の黒字となった。