国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

日産の新型ジューク

9年前に日産ジュークが登場した時、それは小さな革命を起こした。スタイリングがあまりにも新鮮で、業界は大きなため息をついた。

多くの人は日産のデザイン部の冒険と勇気を讃えた。一方、デザインにうるさい人は、「ノーズにあんな二重のヘッドライトは合わない。しかもエッジの効いたライトの下に丸いヘッドライトはないでしょう」とくさして、賛否両論となった。でも、ユーザーにとって、その個性的な味はたまらなかった。

2010年に登場するとすぐに、コンパクトなSUVジャンルの新スタンダードになるほどだった。日本でも人気が出て、ニッチなSUVとして静かなブームを巻き起こした。しかし、時間が経つにつれて強力なライバルは増え、現在、マツダCX-3、スズキ・ヴィターラ、フィアット500X、ジープ・レネゲード、シトロエンC4、プジョー2008などの競合車の数はなんと約20車種にものぼる。

そしてこの度、ライバルに応えるかのように、9年ぶりに次世代ジュークが登場した。ところが、僕が日産に聞いてみたところ、その2代目ジュークは日本に上陸するかしないか、はっきりした答えが返ってこない。えっ、こんな戦略的でスタイリッシュなSUVが日本市場を外れてしまう可能性があるなんて……。



英国でデザインされ英・日で生産される新ジュークは、初代の特徴的なヘッドライトや全体的な形をキープコンセプトとしつつ、クルマ自体は若干巨大化している。まず、丸いヘッドライトがなければジュークとは呼べないが、そのライトの存在感をさらに強調すると同時に、日産の典型的なY字形のグリルが採用された。

全幅や全高が多少伸びているが、ホイールベースは105mm長くなったのでより大きく見えるし、後部席のレッグルームが伸びている。また、全く新しいプラットフォームを採用しており、軽量化を計ったおかげで、23kgも軽くなった。



僕には、ジュークはまるで人気の英国人歌手サム・スミスのように写る。デビューした頃はぽっちゃりとしたルックスと変わった音楽性で、ヒットするのか不安視された。しかし、甘い歌声と新ジャンルを音楽業界に持ち込むと超人気者に。それは、2010年の登場時、目標販売台数1300台とされていたのに、なんと1万台以上売り上げた初代ジュークに似ている。

文=ピーター・ライオン

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい