外国人旅行者が帰国後に懐かしむ日本:「21の魅力」(その3)

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18. こたつ



「コタツ」とは、暖房とふとんのついたテーブルのこと。真冬に、こたつに足を入れて座っている感覚といったらもう、何にもかえがたいし、どんなことにも比べようがない。日曜日の朝に「ソファで」ゆっくり過ごすよりもぜいたくでありながら、ぶ厚い毛布を体に巻きつけるよりもはるかに快適かつ実用的で、さらにはテレビのリモコン、おやつ、ドリンク、ノートパソコン、スマートフォン、漫画、本が置ける台までついている。読者のみなさん、こたつはとにかく「超イケてる」。ベタな表現で申し訳ないが、コタツの素晴らしさを表現しようと思ったら、少しでも近いものがこれしか思いつかない。

19. おにぎり


写真:Japan Inside

日本食の素晴らしさについてはすでにお伝えしたし、おにぎりは基本的に、ごはんを丸めて中に少々の具を入れただけの食べ物なのだが、それでも特筆に値する魅力がある。

たとえ機械で製造したコンビニのおにぎりであっても、びっくりするほど美味しくて、すばらしい満足感が味わえる。安いし、ボリュームがあるし、朝も昼も夜も食べられるし、ある程度の硬さがあるので、バッグの底にほうり込んでも完全につぶれることはない。

「でもね、サンドイッチはどうなの?」という声も聞こえそうだ。そう、おにぎりと渡り合える西洋の食として思い浮かぶのはたしかにサンドイッチくらいしかなさそうだが、サンドイッチには、おにぎりほどのバランス感と安心感がない。それに、シンプルさ加減もおにぎりにはかなわない。

20. 家のなかで靴を脱ぐ習慣


写真:Japan Inside

「玄関で履物を脱ぐ」という日本の習慣を身に着けてしまった人にとって、故郷に戻ってきて一番困ることのひとつが、家に来た客が、汚い古靴や運動靴をはいたまま入ってくることだ。この瞬間の何とも言えない気まずさは、ほとんどの人に理解してもらえない。友達であろうとなかろうと、履物で家の中を歩き回るのは、ラブラドールが泥だらけの体でソファに飛び乗ったり、敷物の上を転がったりするようなものだ。

かといって、「玄関で靴を脱いでくれる?」と頼んだら、「日本暮らしを捨てきれない男」という印象を与えるかもしれない。さらに困るのが、家に修理工を呼んだときだ。見知らぬ他人に「きれいな家が汚れるので、靴を脱いでくれませんか?」と頼むのは一線を越えすぎなのだろうかと、相手の長靴を見つめながら悩んでしまう。

でも、真面目な話、外で履いた靴は恐ろしいほど汚れている。今すぐ愚行にストップをかけよう。

21. そして最後に……「良い子のみなさんは、お家に帰りましょう」のチャイム


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その昔、日本では日暮れどきに寺で鐘をついていた。これを「入相の鐘(いりあいのかね)」と呼ぶのだが、今でも日本の多くの町や村では、この公共の放送システムを引き継いで、夕方の時間に短いメロディを放送し、地元の子どもたちに家に帰る時刻だと知らせている。

私が以前住んでいた地域では、ビートルズの「レット・イット・ビー」(……の不安定で無個性バージョン)が毎日午後5時30分(冬季は30分繰り上がる)に流れていたが、数年後になぜか突然、耳に残ってうっとうしい「イッツ・ア・スモールワールド」に変更された。町の時計台のような役割を持ち、時計よりもノリがいい「入相の鐘」は、帰国した多くの外国人が懐かしむ、日本のささやかな魅力のひとつだ。

翻訳=鹿田昌美 編集=石井節子

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