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2019.09.14 09:00

中国の自動車市場はすでに「不況入り」? 現状が示す4つのこと

Getty Images

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中国の自動車市場の成長に急ブレーキがかかった。中国汽車工業協会(CAAM)によると、8月の販売台数は前年同月比で6.9%減少。これで14カ月連続のマイナスとなった。

市場の急激な縮小が教えてくれるのは、中国の自動車業界に関する4つの重要なことだ。

1. 貿易戦争が「効果」を上げている

政治に関して述べることは避けておくが、販売台数が減少しているという事実から必然的に導き出される結論は、貿易戦争が消費者マインドに影響を与えているということだ。そして、その影響は消費者の「財布」にも及んでいると考えられる。

2. これは一時的な現象ではない

CAAMの幹部はロイター通信に対し、「下半期の販売は持ち直すとみているが、どの程度になるかは分からない…恐らく向こう3年間の販売台数の伸びは、低率から小幅なマイナスになるだろう」と述べている。

自動車業界では販売が一時的に低迷しても、例えば夏の間に生産を一時停止することなどによって、影響を相殺することができる。だが、長期にわたる不況に陥った場合には、工場の一時的な稼動停止ではなく閉鎖もあり得る。

そうした影響を真っ先に実感するのは、力の弱いメーカーだ。プジョーとフィアットは今年に入り、中国での生産を実質的に停止している(フィアットのジープだけは生産を継続)。最終的には力の強い自動車会社や国内メーカーさえも、生産能力を縮小せざるを得なくなるだろう。

自動車産業は消費経済・産業経済のほぼ全ての分野に幅広い影響力を持つことから、そうなれば中国経済全体が、計り知れない影響を受けることになる。

3. 中国でEV革命は起きていない

CAAMのデータによると、新エネルギー車(NEV:EVとハイブリッド車)の8月の販売台数は、前年比で15.7%のマイナスとなった。7月には同4.7%減少していた。

27年にわたって自動車業界の動向を追ってきた筆者には、経験から学んだことが1つある。それは、「消費者が車を買うのをやめるときには、あらゆるモデルが売れなくなる」ということだ。どの推進システムが搭載されていようと関係はない。

4. EVは消費者にとって魅力的ではない

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、太陽光発電事業を手掛けるソーラーシティの買収や「モデル3」の発売、そして建設中の上海のギガファクトリー3に会社を「賭けて」いるとして高く評価されてきた。

ただし、中国の市場、特にEV市場に新モデルを投入するには、今現在が過去10年間で最悪のタイミングであることは間違いない。

テスラがギガファクトリー3をフル稼働に近い状態に保っていくためには、中国の消費者に価格が低めの下位モデルを売り込む必要がある。だが、関税がかからなくなったとしても、モデル3は国内メーカーの平均的なモデルと比べて、かなりのプレミアム価格で販売されることになる。

CAAMのデータを見る限り、現在の環境ではテスラの同工場がフル稼働することにはならないと考えられる。国産EVメーカー、NIOの国内での販売台数がジワジワと減少していることも、この主張をさらに後押しするものだ──中国には、テスラにとっての市場はないということになる。

編集=木内涼子

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