【独占】國光宏尚が描く新たな経済圏「オアシス構想」とは何か

よむネコの代表取締役社長 國光宏尚


ここまで説明してきた「オアシス構想6カ年計画」の流れをまとめましょう。まず、『ソード・オブ・ガルガンチュア』上で、土台としてSAOのようなマルチバトルと自由なアバターでコミュニティをつくることができるMMORPGを2020年に実現します。

次に、「オアシス」のようにライブハウスやショッピングモール、カジノといったあらゆる娯楽を楽しめる世界が、自社・他社関わらずたくさんつくられるようにします。それぞれの世界の資産は、ブロックチェーン化によって交換可能になる。そして、ブロックチェーンの普及によってそうした世界の構築全てがディセントライズドになる状態を、2022年までに完成させることが私たちの目標です。

それが実現すれば、私たちは現実世界の束縛から解放され、より自由な人生を選べるようになるでしょう。

容姿、性格、コミュニティ、お金の稼ぎ方、政治体制……。現在の世界においてほとんどの人は、誕生以来変えることができないたった一つの外見や、学校、家族などのあらかじめ決まったコミュニティからの期待によって形成されたたった一つの性格、そして生まれ落ちた国が採用しているたった一つの経済圏=資本主義の中で生きることを余儀なくされています。この中で強みを発揮できなければ、お金を稼ぐことすらできません。

VR世界でなら複数の外見やコミュニティを自由に選択することで、あらたな性格が解放され、自分に適した経済圏で生活できるようになる。そうした世界がブロックチェーンによって接続することで、社会が形成されていく……。

積極的に「VR世界」を選ぶ未来

実際、2022年時点で、技術的には遊びや運動など視覚、聴覚に関するほとんどのことが、VR世界でできるようになっているはず。

触覚や嗅覚、味覚はまだ再現できないので、食事や排泄、それと子作りは実現しませんが……触覚はおそらく2030年頃に完全に再現され、嗅覚や味覚についてはイーロン・マスクらが取り組んでいる「ニューロリンク」のような技術が完成すれば実現します。その場合は現実の肉体にチューブを接続してそこから味のデータを送り込むので、現実世界の見た目がちょっと不気味なものになるでしょうね(笑)。

ここまでの構想を聞いても、やはりVR世界での生活なんて非現実的だと思われるでしょうか? 僕は、むしろ近い将来には多くの人が積極的にVR世界を選ぶと考えています。これからは現実世界でも様々なテクノロジーが進歩し、便利になります。しかし、それでも1日は24時間で、死ぬまでに満喫できる時間が限られているという事実は変わりません。つまり、あらゆる面が便利になる一方で時間の総量は変わらないのだから、可処分時間の奪い合いがシビアになる。

その時、「一つの〇〇」に縛られた現実世界と、自由なVR世界があれば、後者を選ぶのは自然なことではないでしょうか。それに、現実世界での活動=仕事は嫌々こなして、余暇で存分にゲームを楽しんでいる現状からいっても、仮想世界の方が楽しいのは明らかですよね。剣や魔法で世界を救うなんて、現実世界では到底不可能ですから(笑)。

広場や酒場の交流で時間を過ごして、自分の特技を活かしてお金を稼ぐ。そして、レイドボスや有名プレイヤーのPvPといったイベントが発生したら、仲間と一緒に現場に出かける……。私がいまイメージしているVR世界での生活は、こんな感じです。

現実世界の「一つの外見、一つのコミュニティ、一つの性格、一つの経済圏」に縛られず、「複数の外見、複数のコミュニティ、複数の性格、複数の経済圏」を自分で選ぶことができる。そんなVR世界での生活が実現するのは、決して遠い未来ではないと確信しています。

文=Forbes JAPAN編集部

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