実験の第一段階として、『ソード・オブ・ガルガンチュア』内のアイテムを獲得できるクエストイベントを実施し、その際に獲得することができるデジタルデータをNFT(代替が不可能なトークン)として発行するという。
よむネコ代表取締役社長の國光宏尚は、東証一部に上場したソーシャルゲーム運営会社gumiの創業者として知られるが、現在はVR分野に注力。よむネコでのVRゲーム開発のほか、VRゲーム「Beat Saber」などを運営する「Beat Games」などアメリカのVR/AR産業に投資する「Venture Reality Fund」や、日本・北欧・韓国のVR/AR産業に投資するインキュベーションプログラムの運営にも携わっている。
そんな國光が一方で注目しているのが、ブロックチェーン技術だ。現在は仮想通貨とセットで語られることが多いブロックチェーンだが、彼はこれを将来のVR業界に欠かせない技術だと捉えている。今回発表した実証実験はそのための大きな一歩だという。
『ソード・オブ・ガルガンチュア』のプレイ画面
一見すると接点の少ない「VR×ブロックチェーン」という組み合わせだが、ブロックチェーンはVRをどう変えるのか。そこで、Forbes JAPANでは國光に独占インタビューを敢行。VRにとってブロックチェーンが重要な理由、そして彼が掲げる「オアシス構想6カ年計画」の全貌について聞いた。
國光が語ったのは、VRによって現実世界の制限を突破し、人々がより自由に生きる世界の創造するという、あまりに壮大な構想だった。
2022年に『レディ・プレイヤー1』の世界を実現させる
みなさんはスティーブン・スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)をご覧になりましたか? 私が掲げる「オアシス構想6カ年計画」は、同作のVR世界「オアシス」を元にした計画名です。
若者のみなさんにとっては、VRと聞いてすぐに思い出すのは、川原礫さんのライトノベル作品や、それを原作にしたアニメ『ソード・アート・オンライン(SAO)』かもしれませんね。私もこの作品には、大きな影響を受けています。
「オアシス構想6カ年計画」とは、簡単にいえば2017年〜2022年の6年間で、『レディ・プレイヤー1』や『SAO』に登場するVR世界を再現し、さらにその欠点をブロックチェーンで補完することで、より素晴らしい世界を創り出す計画のことです。『レディ・プレイヤー1』は2045年が舞台なので、成功すればフィクション世界の出来事を23年分、前倒しにできますね(笑)。
そしてこの構想の実現は、私たちの生き方そのものを大きく変えてくれるはずです。外見や性格、コミュニティや社会制度といった現在の世界では仕方がないと思われている制限から人々を解放し、それらを自由に選択できるようになるからです。