トランプの対中関税 米家庭に年間数千ドルの負担

(Walmart / GettyImages)


それどころか、得られた全経済利益が近いうちに関税によって失われるかもしれない。報告書では、貿易協定が結ばれなかった場合にかけられる30%の関税が発動すれば、「トランプ政権の関税を原因とした経済への完全な損失額は年間779億ドル(約8兆4000億円)に達する」と指摘。これは、トランプ政権独自の計算によって算出した規制緩和による今年6月30日時点のコスト削減額465億ドルを超えるものだと述べている。

トランプ大統領を含む高官らはこれまで、関税が米国人に害を与えることはないと主張してきたが、トランプ政権は関税により生じた経済損失の埋め合わせとして議会に減税法案を通過させるよう要請するかもしれない。非営利団体「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」のマーク・ゴールドウェイン上級副会長は「中産階級の減税をしたいのであれば、『中国には関税を課すな』ということになる」と述べている。

トランプ政権の関税は中国などの国から報復を招き、米国の輸出は減っている。さらに、関税が政策目標を全く達成していないのは明らかだ。関税を取り払わない限り、米国人が毎日購入する製品の価格は上昇し、国民に対する大規模かつ永続的な増税となるだけだろう。

編集=遠藤宗生

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