AIで「現実と区別がつかない映像」を生成 気鋭の起業家が描く映像革新

(左)EmbodyMe代表の吉田一星 (右)インキュベイトファンドのゼネラル・パートナーの村田祐介

まずは、以下の動画を見て欲しい。

動画の冒頭、元気そうな赤ちゃんが出てくる。が、この赤ちゃんの表情は本人のものではなく、若い女性の表情の動きをもとに生成されている。こうした動画の生成を可能にしているのが表情認識の技術だ。

「従来の表情認識の技術は70点以下の2Dのポイントを推定するだけでしたが、私たちの表情認識の技術は50000点以上の3Dのポイントを推定します。その結果、より詳細な表情認識が可能になり、さらには現実と区別がつかないビジュアルコンテンツが生成できます」



上記の動画について、EmbodyMe代表の吉田一星はこう語る。EmbodyMeはディープラーニングを用いた映像生成技術の研究開発を行い、その技術を用いて現実と区別がつかないリアルな映像を誰でも簡単に作れる iOS アプリ「Xpression」を提供するスタートアップ。

同社は9月12日、DEEPCORE、インキュベイトファンド、Deep30、Techstars、SMBCベンチャーキャピタル、漆原茂を引受先とした第三者割当増資および、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発型ベンチャー支援事業への採択による助成金と合わせて、約2億3000万円の資金調達を実施したことを明かした。

創業時にインキュベイトファンドから9000万円、日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)による融資で4000万円を調達しており、累計調達額は約3億6000万円にのぼる。

今回調達した資金をもとに、EmbodyMeはディープラーニングを用いた次世代の映像生成技術の研究開発を推進していくという。

話し合いの場で出資が決まり、起業の道へ

EmbodyMe代表の吉田は新卒でヤフーに入社し、コンピュータビジョン、コンピュータグラフィックス、機械学習に関する研究開発に従事してきた。

これまでに、顔の表情をリアルタイムで読み取って別の顔に変身できるるARスマホアプリ「怪人百面相」を開発したほか、表情に合わせて動くアバターになりきって通話、チャットや動画投稿などができるスマホアプリ「なりきろいど」を開発したりしてきた経験を持つ。

吉田は、「約10年ほど、コンピュータビジョン、コンピュータグラフィックス、機械学習に関する研究開発に携わっており、『怪人百面相』もSnapchatやSNOWでフェイスエフェクトが流行る3年前にリリースすることができた」と語る。


吉田が2013年にリリースした『怪人百面相』
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文=新國翔大 人物写真=小田駿一

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