英国の親たちが昨年、子どもに住宅購入支援として貸した額は驚くほど高額な57億ポンド(約7500億円)だった。これは、同国で10番目に大きな住宅ローン融資会社をしのぐことになる。
英国で公式に住宅ローンを融資する企業として10位のクライズデール銀行の融資額は、“わずか”50億ポンド(約6600億円)だった。
金融サービス企業リーガル・アンド・ゼネラル(L&G)が発表した調査では、住宅購入者に対する親からの平均的な支援額は2019年、2万4100ポンド(約320万円)で、昨年の1万8000ポンド(約240万円)から34%上昇している。
地域によってはこれがさらにつり上がり、ロンドンでは平均3万1000ポンド(約410万円)だ。
L&Gは、親が子どもに貸す額は今年63億ポンド(約8300億円)に達すると見積もっており、約100万人の住宅購入者の4分の1以上(約25万9400人)を支えている。これは、今年購入された5つの不動産のうち1つに当たる。
親から借りた資金を使って購入される不動産の価値は総額、約700億ポンド(約9兆2000億円)だ。
L&Gの調査は、子どもを持つ親ら約1600人を対象とした世論調査に基づくものだ。回答者の半分以上は金銭面で子どもを支援していると答え、約15%は子どもへの金銭的支援のため低い生活水準を受け入れていると答えた。さらに調査対象者の約4分の1は、退職後に十分な資金があると確信できないと答えた。
L&Gの小売・退職部門を率いるクリス・ナイト最高経営責任者(CEO)は「英国中の親や祖父母は、家族がマイホームに落ち着く姿を見たいと思っていて、“父母銀行”の一環として多額の援助をしている」と述べた。
「多くの人は自分の年金や貯蓄を使って支援しており、残念なことに一部の人は退職後に貧しい暮らしに直面する可能性がある。適切なアドバイスを得ていない場合はなおさらだ」(ナイト)