無濾過で増す、「旨味」と「複雑み」|美酒のある風景

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Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は9月号(7月25日発売)より、「ニュートン」をご紹介。旨味と複雑みを生む秘密は、その製法にあった。


一般にカリフォルニアワインと言ったとき、どんなイメージを持つだろう。白ならば香り高きシャルドネ、赤なら濃く力強いカベルネ・ソーヴィニヨンといったところだろうか。もちろん、その印象は間違いではないが、そこにどこか「一本調子」や「単純」といった揶揄のニュアンスが隠されているのではなかろうか。そんな懐疑派におすすめしたいのが「ニュートン アンフィルタード カベルネ・ソーヴィニヨン」だ。

「ニュートン」は、カリフォルニアはナパ・ヴァレーで1977年に創業。のちにAVA(American Viticultural Areas=政府公認のワイン指定栽培地域で収穫されたブドウを、85%以上使用した場合に地域名を表示できる)に指定されたスプリング・マウンテンに、いち早く着眼したフロンティアワイナリーのひとつである。

このスプリング・マウンテンは文字通り山の斜面にブドウ畑が配置されており、カリフォルニアの強い日差しと朝晩の大きな温度差の影響から、凝縮した果実をつけるカベルネ・ソーヴィニヨンの名産地。

ここから生まれるカベルネ・ソーヴィニヨンは重厚でリッチな赤ワインとなるが、ここで注目していただきたいのが“アンフィルタード”という言葉。ひとつひとつ手摘みしたブドウを木樽で発酵させたうえで、フィルターされていない、つまり無濾過、日本酒でいうところの“澱がらみ”の状態であるこのワインはより自然な状態で旨味が残されており、複雑味を増しているから、けっして「単純」でも「一本調子」でもない。

「このバランスの良さとほどよい複雑味がウルフギャングの熟成肉をもっとも美味しく味わうための秘密かな」と教えてくれたのは、レストラン「ウルフギャング・ステーキハウス シグニチャー」オープンのため来日していたピーター・ズウィナー氏。世界に展開する「ウルフギャング・ステーキハウス」の共同経営者であり、創業者ウルフギャング・ズウィナー氏の息子でもあるピーター氏は日ごろから「ニュートン」のファンなのだとか。

たしかに、香り高い熟成肉のTボーンステーキを勢いよく咀嚼し、ベリーのような濃赤の「ニュートン アンフィルタード カベルネ・ソーヴィニヨン」をひと口……ベルベットのようなスムースな飲み口とほどよい酸が口中をやさしく洗い、ステーキをもうひと口、と食欲が湧いてくる。リッチなカベルネ・ソーヴィニヨンと熟成肉のステーキというマリアージュに気分はすっかりニューヨーカーだ。

NEWTON Unfiltered Cabernet Sauvignon 2016 ニュートン アンフィルタード カベルネ・ソーヴィニヨン

度数:14度
容量:750ml
価格:6250円(税別参考小売価格) 
問い合わせ:MHD モエ ヘネシー ディ アジオ www.mhdkk.com/brands/newton/

photographs by Yuji Kanno | text and edit by Miyako Akiyama

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