インサイダー取引容疑で有罪宣告を受け、11年の刑に服していた元ヘッジファンドマネージャーのRaj Rajaratnamが、刑期終了の約2年前に釈放された。背景には、カーダシアンがドナルド・トランプに制定を求めた新たな法律がある。
カーダシアンの呼びかけで、トランプは2018年に「First Step Act法」にサインを行った。First Step Actは薬物の密売などの暴力を伴わない犯罪で投獄された受刑者が、60歳以上の場合、もしくは末期疾患にかかった場合、早期の釈放を可能にする法律だ。
2009年にフォーブスの米国の富豪ランキングに登場し、推定資産が13億ドルとされたRajaratnamは、7月23日に釈放された。彼は62歳で、重度の糖尿病にかかっているという。この事実は9月6日のブルームバーグの報道で明るみに出た。
First Step Actが導入された背景には近年、アフリカ系アメリカ人の投獄率が白人に比べ、非常に高くなっていることがあげられる。カーダシアンは2018年5月、ホワイトハウスでトランプと対面し、麻薬犯罪で終身刑に服していた63歳の黒人女性、アリス・マリー・ジョンソンの釈放を訴えた。
トランプにマリー・ジョンソンの早期釈放を認めさせたカーダシアンはその後、弁護士を目指すと宣言した。彼女は現在、2022年の弁護士試験合格を目指して猛勉強中という。
今回釈放されたRajaratnamは、FBIの電話盗聴による捜査で初めて摘発された、インサイダー取引犯罪者としても知られている。それ以前は、米国の警察が電話盗聴を行うのは、組織的犯罪の捜査に限られていた。
スリランカ生まれのRajaratnamはニューヨークが金融バブルに湧いた1990年代にニューヨークにやってきた。34歳当時の彼は、ブティック投資銀行のNeedham & Coのプレジデントを務めており、ピーク時には70億ドル以上の資産を運用していた。
2009年にRajaratnamは7200万ドルを不正なインサイダー取引で得た容疑で逮捕された。彼は当初、19年の服役を命じられたが、その後11年に減刑されていた。