可能性を秘めたイギリスのスパークリング・ワイン


ガズボーンでは、2009年のイギリスの最優秀ソムリエで、ワインの最高峰の資格の一つである「マスター・ソムリエ」を持つローラ・リース(Laura Rhys)氏を迎え入れ、さらなる品質向上とブランドに努める。毎年、100種類以上のベースワインをブレンドしてスパークリング・ワインを仕込むが、リース氏は、そのブレンドを決定するチームの一員としても活躍する。


笑顔が素敵なガズボーンのローラ・リース(Laura Rhys)さん

「ブリュット・リザーヴ(Brut Reserve)」は、ピノ・ノワールを50-60%に、シャルドネとムニエをブレンドしたスパークリング・ワイン。柑橘、りんご、ザクロといったピュアな果実味に加えて、切れ味のある高い酸味とフレッシュさが特徴的だ。

「ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)」はシャルドネ100%から造るスパークリング・ワイン。ワイン雑誌「デカンター」でも高評価を得た実力の一本でもある。

ロンドンの会員制クラブ「67 Pall Mall」で、リース氏と一緒に、少し熟成した2012年のブラン・ド・ブランを試飲した。時間を経ることでシャープな酸に丸みが出て、ボディに多少の厚みが感じられ、直近の収穫年のワインとの違いに驚いた。ガズボーンでは、ロゼのスパークリングやスティル・ワイン、ラタフィアも造っている。



ロンドンから便利な立地

ガズボーンがあるケントは、のどかな田舎風景が広がり、可愛らしい小さな町が点在する。実際にワイナリーを訪問して感じたのが、ロンドンからのアクセスの良さだ。

ロンドン中心地のSt Pancras駅から電車で40分で、最寄りのAshford International駅まで到着する。そこからワイナリーまでは、タクシーで20分ほど。近隣の他のワイナリーのツアーにも参加したが、イギリスや他の国からの観光客で賑わっていた。ガズボーンでも、ビジター施設を刷新し、一般向けにワイナリーツアーや試飲を行なっている。



どのワイン産地でも、高品質なワインを造るためには、適切な土地の選択と、その土地にあった栽培・醸造技術を駆使することが不可欠だ。イギリスは、未知数ではあるが、今後新たなワイン産地として飛躍する可能性を秘めている。特に、スパークリング・ワインのポテンシャルは高く、それに目を向け、すでにいくつかの大手シャンパーニュメゾンも進出している。

まだ生産量は少なく、特にガズボーンのような高品質で高価格帯のワインは、イギリス国内での高い人気に支えられているが、徐々に国外にも輸出され、世界の有名なレストランのワインリストにも加えられている。日本でも入手可能だ。これから、イギリスがワイン生産地としてどのように発展していくのか、注目したい。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文・写真=島 悠里

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