現状、この命令を米国外の国々に制限する条項は含まれていないが、今後追加される可能性はある。移民税関捜査局の捜査対象は明らかになっていないが、タリバンがATN製スコープを使用していたとの報道もある。
裁判所が政府命令を認めた場合、アップルとグーグルはアプリをダウンロードしたユーザーの氏名、電話番号、IPアドレスの提出を求められることになる。
テック企業は命令を拒否すべき
プライバシー問題に詳しい弁護士のTor Ekelandは、「政府は、当初の目的とは無関係の情報を入手し、別の人や組織を追求する可能性がある」と話す。彼によると、今後はデートアプリや健康アプリでも情報を取得しようとするかもしれないという。
「犯罪者だと疑う理由が全くない人々のデータにまで政府がアクセスするのは、非常に大きな問題だ」とEkelandは危惧する。
元国家安全保障局のアナリストで、現在はRendition Infosecでサイバーセキュリティ・コンサルタントを務めるJake Williamsはこう話す。
「グーグルとアップルは抵抗するべきだ。政府によるこのようなデータ取得は問題だ。例えば、研究者は脆弱性を調査するためにアプリを大量にダウンロードすることがよくある」とWilliamsは言う。
「私が研究目的でダウンロードしたアプリについて、グーグルが私に内緒でIDやセッションデータを政府に開示するというのはばかげた話だ」
米国では、今回のような政府命令ははじめてのケースだが、米国外では前例がある。フォーブスが以前報じた通り、匿名の政府がアップルに対し、テロリストの手掛かりを掴む目的で特定のアプリのユーザー5800万人分のデータを開示するよう求めたことがある。アップルは、この要請を拒否している。