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クリエイティブなライフスタイルの「種」


──ビッグバンを起こすというのも気になります。

宇宙が誕生したように、コミュニティの着火を意味し、僕らは“ビッグバン理論”と呼んでいます。これは運営しか投げられない球=ファンがわくわくする企画・プロジェクトは何か? ということをしっかりと考えた上で、コミュニティに投げかけるということです。

例えば、佐々木俊尚氏や松浦弥太郎氏、箱庭さん、灯台もとくらしさんが運営するSUSONOで、空き家ツアーというのを開催したんですよ。空き家問題で頭を悩ましている三浦半島のとある町を訪れて、関係者に話を聞いたりワークショップをしたりという企画だったんですが、参加者の一人がそこの空き家を気に入って実際に購入したんです。さらにその方がリフォームのワークショップを行ったり、お披露目パーティを催したりと発展していって。

運営側が空き家ツアーという球を投げたことで、そこからは自走する形でプロジェクトが大きくなったという、まさにビッグバン理論を体現する事例です。



SUSONOというコミュニティで行われた空き家ツアー時の様子。

──コミュニティ派生で家まで購入するってすごいことですよね。

そうですね、人生を変えるきっかになるようなこともたくさん起こっています。それこそコミュニティで知り合い仲良くなった結果、コミュニティベイビーも誕生しています。コミュニティって価値観が近い人の集まりなので、発展していくのは当然といえば当然なのですが。

このようなユニークな発展の裏には、n対n=メンバー同士のコミュニケーションが鍵を握っています。運営側から投げかけるだけではない場づくり、空気感をデザインしていく必要があります。

あるコミュニティでメンバーが世界のLGBTシーンを取材して発信したいというクラウドファンディングを立ち上げたんですが、その際、コミュニティメンバーが率先して支援したり(メンバーによる支援率16%)情報拡散してくれたので、目標額を達成し、最終的には150万円くらい集まったんです。

n対nのコミュニケーションによりメンバー同士の絆が築かれていたので、応援の熱量が高く、比較的スムーズにプロジェクトを成功に導くことができました。

──「運営が気づかない魅力でエンゲージを高める」というのはどういうことでしょうか。

『ベストカー』という車雑誌のコミュニティがあるんですよ。その編集部では、メーカーが協賛しているレースに、編集部の方々が毎年出場していたんですが、どちらかというと仕事としてというニュアンスが強かったそうです。ところが、コミュニティメンバーに興味ありますか? と投げかけたところ、みんな目の色が変わって「出たい!出たい!」と希望者が殺到しました。

もちろんレースに出るにはA級ライセンスが必要で、レーシングスーツなど装備も揃えなければいけなかったのですが、「そんなの何とかします!」と、みんなでライセンスを取りに行ったり、レーシングスーツなどの装備を比較検討したりと、次々にアクションが生まれていったそうです。運営側が気づかなかった思いもよらぬ価値によって、コミュニティが熱狂したという例ですね。

──最後に挙げていただいた「コミュニティ1対本業100の法則を意識する」について教えてください。

コミュニティをビジネスとして捉えることはサブスクリプション型のモデルとして注目されていますが、小売りと違って売り上げがドンと立つわけではなく、ジワジワ時間を掛けて緩やかに伸びていきます。最初のうちに人数を絞ってコミュニティの熱量を最大化するのであれば、なおさら時間が必要です。となると短期間で成果が出ないのですぐにやめてしまおうという発想になりがち。

熱量が高いコアなファンを育てることで、共創コミュニティが育ち、本丸のビジネスを伸ばせるという補完関係を意識していないと、なかなかドライブさせていくのが難しいんです。イメージとしてはコミュニティが1に対して、本業が100くらいの捉え方が良いかと。

文=国府田淳

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