だが事業縮小やリストラが囁かれるなか、新しい所有者は意外な道を選ぶ。3億2500万ドルを投じて工場の安全性を高め、製造工程を改善。新規事業も手掛け、社員も売り上げも増やしたのだ。
その所有者とは、ヘンリー・クラビス(75)とジョージ・ロバーツ(75)率いる、米投資会社「KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)」。彼らはかつて食品大手「RJRナビスコ」をレバレッジド・バイアウト(LBO)で買収し、その強引な手法から“野蛮人”のレッテルを貼られた。だがそれも過去のこと。クラビスは「20年前はESG(環境・社会・企業統治)投資を信じなかった」と認める。
「リターンをきちんと出すことが、出資者にとって最も大事だと思っていた。その意味では、私は“改宗者”と言えるかもしれないね」
ヘンリー・クラビス、ジョージ・ロバーツ◎米投資会社「KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)」の共同創業者。投資銀行ベアー・スターンズ(2008年に破綻)で二人の上司だったジェローム・コールバーグ・ジュニアと共にKKRを創業。レバレッジド・バイアウト(LBO)を駆使して数々の大企業を買収し、一躍有名になった。