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2019.09.10 12:35

カウンタックの面影残す「シアン」は、ランボルギーニ電動化への荒々しい第1歩


スーパーキャパシターをハイブリッドのために使う

なお、シアンが搭載するスーパーキャパシターは、たった1回のブレーキングでフル充電される。したがってコーナー手前で充電されたエネルギーが、コーナリングを終えたときには加速をアシストするのに使われる。シアンに搭載されるスーパーキャパシターには、バッテリーに比べて軽いというメリットもある。ランボルギーニ曰く「同じ出力のバッテリーに比べて1/3の重量」しかなく、これもその瞬発力を際立たせる要因になっているはずだ。

ランボルギーニはアヴェンタドールSVJでもスーパーキャパシターを採用したが、あれはアイドリングストップ後の再始動のための電源としてであり、シアンのものとは用途が異なる。



カウンタックの面影

シアンの外観には明確な意図があるとランボルギーニは言う。それは1974年に生み出され、ランボルギーニの後続車たちに引き継がれていくシルエットの元祖となったカウンタックLP400の面影だ。両側サイドには象徴的なNACA吸気ダクトが配置され、ボンネットフードの斜めの切り込みや、6角形テールランプなどにカウンタックのそれをアレンジしたデザインを取り入れている。

ルーフ部分をくぼませる”ペリスコピオトンネル”は空力的な効果を発揮する部分でもあるが、もともとはカウンタックのリアビューミラーを機能させるための工夫だった(ほとんど機能しなかったが)。

シアンはカウンタックLP400と同様にリアにウイングを持たないように見える。しかし、そこは現代のスーパーカー、静止時はボディと一体化しているリアウィングが、走行時にせり上がる仕組みだ。一方、エンジンカバー部に見えるエレメント”アクティブ・クーリング・ベーン”は、排気熱によって開閉し、パワーユニットの冷却に貢献するランボルギーニ独自の特許技術だ。

なお、フロントに埋め込まれた鋭いY字型のヘッドライトは、2017年のコンセプトカー、ランボルギーニ・テルツォ ミッレニオのヘッドライトデザインを実用化したものだ。



製造台数は63台

自動車は速いものだというイメージを持ち、スーパーカーに魅せられた人々にとってランボルギーニ・シアンは、かつての少年時代の夢を具現化したもののひとつと言えるだろう。そしてオーソドックスなミッドシップスポーツカーの優美さではなく、鼻先を低く保ち背中を隆起させたまさに雄牛のような獰猛なシルエットは、一目でランボルギーニの車と認識できるものだ。

シアンは「カウンタックからインスピレーションを得てはいるものの、決してレトロスペクティブでなく、未来のアイコンを目指したもの」だとされている。ランボルギーニの会長兼CEOステファノ・ドメニカリ氏は、将来のランボルギーニに一層の電動化が求められ、それが不可欠な要素になっていくとしても、シアンがランボルギーニの今後数十年のスポーツカーブランドとしての可能性を高めるマシンになると説明、「シアンの名はランボルギーニの電動化への第一歩であり、次世代のV12エンジン開発をも促進する」と述べた。



シアンはわずか63台しか生産されず、まだ1度も人々の前にその姿を現してはいない。にもかかわらず、すべてが売約済みだ。このワイルドなマシンを実際にその目で確かめたいなら、9月12日からはじまるフランクフルト・モーターショーが、その最初の機会になる。

文=Munenori Taniguchi

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