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2019.09.10

カウンタックの面影残す「シアン」は、ランボルギーニ電動化への荒々しい第1歩

ランボルギーニ「シアン」

ランボルギーニの新スーパーカー、シアン(Sián)は、伝統のV12エンジンに初めてハイブリッドシステムを組み合わせた「史上最強のランボルギーニ」だ。シアンとは、イタリア・ボロネーゼ地方の方言で稲妻を意味し、まさに電光石火のイメージを体現する。

スーパーキャパシターをハイブリッド化のために搭載

そのハイブリッドシステムは、一般的なリチウムイオンバッテリーではなく、瞬間的に電流を放出できるスーパーキャパシターを採用し、イタリアの猛牛(ランボルギーニ社のエンブレム)に強烈な出足を授ける。つまりこのマシンは走行音の静かな、環境に配慮した(つまらない)クルマではなく、シアンの名にふさわしい驚異の運動性能を誇るマシンなのだ。

シアンが搭載する、チタン製吸気バルブ搭載のV12自然吸気エンジンは、8500rpmで785hp(577kW)を発生する。これだけでもランボルギーニ史上最高出力を誇るが、そこにハイブリッドシステムが34hpを追加することで、シアンの出力は合計819hp(602kW)に達する。これによって、シアンのパワー・ウェイト・レシオはアヴェンタドールSVJの1.98kg/hpよりも優れた1.0kg/hpになるとランボルギーニは述べている。

ランボルギーニ初のハイブリッドカー

革新的なハイブリッドシステムは、ギヤボックスに統合されたモーターにより、特にトルクが不足する低速域の加速を強化する。これによって0-100km/hは2.8秒未満を達成し、また30~60km台では同社の旗艦車種アヴェンタドールSVJよりも0.2秒も、そして70〜120km/hでは1.2秒も速くなった。

そして130km/hでモーターが分離されるころには、V12エンジンが高らかな咆哮とともに強大なトルクを発揮する。これは自然吸気エンジンを搭載するランボルギーニにとって、ターボチャージャーでバルクアップされた他のスーパーカーとの差を縮めるひとつの要素になるだろう。また、従来のマシンでシフトチェンジの際に瞬間的に感じられた減速も、モーターが供給するトルクによって解消され、よりリニアな加速感が得られるようになった。
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文=Munenori Taniguchi

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