ビジネス

2019.09.10

米テック企業がシカゴに拠点を置きたい理由

摩天楼の前に建つ、シカゴ・ミレニアムパークの象徴「クラウドゲート」、別名「ビーン」(f11photo / Shutterstock.com)

配車サービスのウーバーは2019年8月、シカゴのオフィス規模を46万3000平方フィート(約4万3000平方メートル)に拡大し、同市でのプレゼンスを強化すると発表した。

シカゴには、ウーバーの中部地区の本部、ならびにトラック輸送部門「Uber Freight」の本部がある。シカゴは古くから物流産業の中心地として発展しており、ウーバーが深く根を下ろそうと考えるのは当然だと言えよう。

ウーバーのリース契約は、シカゴでは近年稀に見るほどの大きな規模だ。ただ、「ウインディ・シティ(風の街)」と異名をとる同市でテック企業が存在感を高めようとするのは珍しいことではない。アメリカの東西沿岸部を拠点とする大手テック企業がシカゴにオフィスを開設し、規模を拡大するケースは着実に増えている。

顧客情報管理(CRM)大手のセールスフォースは2018年11月末、シカゴのオフィスを拡大して新たに1000人を雇用すると発表。新築高層ビルにある広さ50万平方フィート(約4万6450平方メートル)のオフィスをリース契約し、新たな地域本部として体制を固めた。同社はすでに1000人以上の地元住民を新規採用している。

セールスフォースと同じく、グーグルも2018年後半にシカゴでの規模拡大を発表した。グーグルが開設したシカゴのオフィスは、はじめは小規模だったが、以降拡大を続けており、多くの技術担当者がそこを拠点にしている。

Forbes USが2018年に報じたとおり、シカゴは2017年、企業が移転したり規模を拡大したりする都市として全米1位になっている。テック企業大手がこうした動きに参加しようとするのは当然と言える。

シカゴは、コンピューターサイエンスの学士号数が全米2位であるほか、テック系人材プールの伸びは全米3位だ。

テクノロジー人材がシカゴにどんどん集結していると聞いても、驚きではない。なぜなら、不動産サイトCBREの2018年データによれば、シカゴはテック系人材数では全米屈指の都市でありながら、西海岸のベイエリアや東海岸のニューヨーク市に比べて、かなり低い生活費で暮らしていける都市なのだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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